自律型ドローンの現状と課題【前編】
「自律型ドローン」とは? 簡単には解決できない技術的限界を解説
米国では「自律型ドローン」の実用化に向けて活発な議論が進み、食事の配達や工業設備の点検などさまざまな用途に期待が集まっている。ただし、いまだ技術的な限界も少なくない。
「自律型ドローン」とは、パイロットがドローンの飛行に積極的には関与せず、遠隔操作で監視して、どうしても必要な場合にのみ操縦するドローン(小型無人航空機)を指す。自律型ドローンはGPS(全地球測位システム)の位置情報を使ったナビゲーションによって、自律的にプログラミングされた飛行を可能にする。他にも、GPSが利用できない環境や、GPSが断続的に途切れる環境で飛行できる自律型ドローンもある。パイロットが視野の範囲内で自律型ドローンを運用することは、もちろん可能だ。米国の場合、視野を超えた範囲で運用することが特例として認可されたケースもある。
自律型ドローンは、さまざまな業界や分野を横断して利用されている。食事の配達や工業設備点検、建設、倉庫内の在庫管理、人間では安全上のリスクがある危険な場所(鉱山など)の検査などが、主な用途として挙げられる。
自律型ドローンで解決すべき技術上の課題
ドローンの自律的運用は、技術的観点から見ると複雑だ。人工知能(AI)エンジンが制御する視覚を持つ自律型ドローンは、実際にはさまざまなセンサーやコントローラー、センサーフュージョン(センサーごとの特性を考慮しながら、複数のセンサー情報を融合させて新しい情報を抽出する技術)のアルゴリズムが連携して自律飛行を実現させるとともに、冗長性を実現している。
センサー技術は完璧とは程遠い。GPSで運用する自律型ドローンは、GPS信号の途絶に見舞われることがある。GPSが使えない、あるいは接続が途切れがちな状況における現在位置の特定や地図作成アルゴリズムは、使用するセンサーの構造、種類、品質、対象物の反射性に基づく限界がある。
バッテリーの限界は総飛行時間に影響する。特にプロシューマー(生産消費者)分野の自律型ドローンの場合、積載量や飛行持続時間が限られることが、自律飛行の障害になり得る。飛行中にバッテリーが切れれば、自律型ドローンの回収が難しい立ち入り困難地域への強制着陸を強いられかねない。
GPSが利用できない地域で自律型ドローンを運用する場合は、レーザー、カメラ、現在位置特定と地図作成のための慣性計測装置などを使用した障壁回避や経路計画といった、センサーを連携させるための複雑なアルゴリズムが求められる。アルゴリズムはセンサーの限界が原因で処理に失敗することがあり、失敗は自律型ドローンの喪失や衝突につながりかねない。自律型かどうかにかかわらず、ドローンは強風に流されたり、樹木などの静的障壁、あるいは鳥のような動的障壁に衝突したりすることがある。そうした全ての要因に対処することは、多大な困難を伴う。
遠隔操作するオペレーターに自律型ドローンの場所を定期的に伝達するためには、依然として無線標識(特定の方向性をもつ電波を発し、それを受信した航空機や船舶に方位を知らせる装置)が必要だ。特に、険しい地形や危険な場所で見失ったり墜落したりした自律型ドローンの回収は、複雑な問題を生じさせる。センサーやサービスに冗長性を持たせれば、コストと運用性に影響が出る。高価なセンサーやセンサーベースのハードウェアは、GPSが使えないエリアで優れた運用能力を提供できる。ただし自律型ドローンは常に墜落や障害の危険があり、困難な地形や状況に適応できる高価なハードウェアはコストに影響を与える。
後編は米国における自律型ドローンの社会的な課題について触れ、今後の用途や可能性を考察する。
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自律型ドローンの現状と課題
米国はドローンの実用化に向けて、さまざまな技術革新や法規制緩和が進んでいるが、未解決の課題も少なくない。現状の技術的限界や法的制限といった課題を整理し、今後の展望を追う。
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