NOR型フラッシュメモリは自動車や医療をはじめ幅広い分野で活躍している。NAND型フラッシュメモリとの違いを踏まえつつ、NOR型フラッシュメモリの用途を探る。
前編「いまさら聞けない『NAND型』『NOR型』フラッシュメモリの違いとは?」では、NOR型フラッシュメモリとNAND型フラッシュメモリの構造の違いや、メリットとデメリットを紹介した。本編は、それぞれの特性を生かしたどのような用途があるのかを紹介する。
NAND型フラッシュメモリは、一般的にストレージに使用される。一方でNOR型フラッシュメモリは、産業用ロボットや医療機器、家電といった特定の機能を実現するための組み込みシステムに搭載されることが一般的だ。スマートフォンやタブレットのようなモバイルデバイスは、NAND型フラッシュメモリとNOR型フラッシュメモリを併用する場合もある。
NOR型フラッシュメモリは、ルーター、スイッチ、ゲートウェイといったネットワーク機器に組み込まれることもある。自動車業界はNOR型フラッシュメモリに強い関心を持ってきた。NAND型フラッシュメモリと比べてデータ読み出しにおけるエラー発生率が低いなど信頼性が高いだけでなく、高温に耐えられる特性があるからだ。温度が高くなりやすい環境でも使用できればボンネット内やダッシュボード内のコンポーネントとして搭載できる。NOR型フラッシュメモリは自動車に搭載するタッチスクリーン、インフォテインメント(情報や娯楽を提供する機能)のコンポーネント、ADAS(先進運転支援システム)などに適している。
ランダムアクセス方式(目的とするデータに直接アクセスする方式)の高速性とエラー発生率の低さを要求するデータ読み出し専用のストレージや、高速起動を要求するシステムにもNOR型フラッシュメモリが適している。NOR型フラッシュメモリに格納したプログラムを実行する際は、高速なランダムアクセスを実現するためにメインメモリ(RAM)に転送する必要がなく、直接実行できる利点もある。NOR型フラッシュメモリのメモリモジュールは、Cypress Semiconductor、Macronix International、Micron Technology、Winbond Electronicsなど数社のベンダーが提供している。
NOR型フラッシュメモリの将来を予測するのは難しい。だがNOR型フラッシュメモリがコンシューマー向けモバイルデバイスや車載コンポーネント、IoT(モノのインターネット)デバイス、その他組み込みシステムに適したフラッシュメモリとして使用されていることは確かだ。ランダムアクセス方式によるデータ読み出しの高速性や、エラー発生率の低さをはじめとする信頼性の高さがあるため、その用途は幅広い。自動車関連技術の進化やIoTの普及がさらに進めば、より広くNOR型フラッシュメモリが採用される可能性がある。
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