「ハイブリッドクラウド」はクラウドサービスとオンプレミス両方の「いいとこ取り」を実現できる可能性があるが、考慮すべき点もある。ハイブリッドクラウドのメリットと注意点を、用途ごとに説明する。
企業はオンプレミスとクラウドサービスのITインフラを組み合わせる「ハイブリッドクラウド」の導入を成功させるために、自社がハイブリッドクラウドを必要とするそもそもの理由を明確にすることが必要だ。どのような用途にハイブリッドクラウドは適しているのか。前編「『ハイブリッドクラウド』はなぜ必要か? DXとクラウド移行の観点で考える」に続く本稿は、ハイブリッドクラウドの主要な8つの用途のうち、3つを紹介する。
災害復旧(DR)もハイブリッドクラウドの一般的な用途の一つだ。クラウドサービスをDRサイトとして利用すれば、災害時以外はアイドル(待機)状態になるハードウェアに投資する必要がなくなるため、バックアップの費用対効果を高めることができる。
ハイブリッドクラウドを利用した復旧の手順や手続きは、オンプレミスのDRサイトを扱うよりも複雑になる傾向があることが課題となる。
企業はデータ分析やハイパフォーマンスコンピューティング(HPC:高性能計算)など、CPUやメモリ、ストレージといったリソースを集中的に使用するアプリケーションを稼働させるときにクラウドサービスを利用できる。クラウドサービスであれば、新しいアプリケーションを小規模から導入できることがメリットだ。
「アプリケーションの試験的な稼働がうまくいかなかったら、使用した分だけクラウドサービスの利用料金を支払い、次に進めばよい」と話すのは、データ分析サービスを手掛けるPythian Servicesでプリンシパルコンサルタントを務めるワーナー・チャベス氏だ。ハイブリッドクラウドは、必要に応じたリソースの増減を容易にする。
ハイブリッドクラウドで稼働させていた試用段階のアプリケーションを本番環境に移行するときには、大きな課題が生まれる。アプリケーションによっては大量のデータをクラウドサービスで処理できるようにする必要が生じたり、業界によってはデータに関する法規制の順守が難しくなったりする恐れがある。ハイブリッドクラウドでコストの高騰を防ぎ、最新テクノロジーを適切に利用するためには、経験豊富なスタッフも必要になる。
ハイブリッドクラウドを構築することで、企業は特定のベンダーの製品やサービスを導入する大掛かりな取り組みを始める際、まずクラウドサービスで試すことができる。
こうした試験導入は実導入を遅らせる恐れもある。金融や医療といった、高いリスクを避けて安全性を重視する業界では、こうした遅れはそれほど問題にはならない。スタートアップ(創業間もない企業)など迅速に行動したい企業では、事業戦略に悪影響が生じる恐れがある。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
AIの進化が加速する「プラットフォームビジネス」とは?
マーケットプレイス構築を支援するMiraklが日本で初のイベントを開催し、新たな成長戦略...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2024年12月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
2024年の消費者購買行動変化 「日本酒」に注目してみると……
2023年と比較して2024年の消費者の購買行動にはどのような変化があったのか。カタリナマ...