「ハイブリッドクラウド」が役に立つ理由をDRや新製品導入の観点で考える「ハイブリッドクラウド」の8大用途【中編】

「ハイブリッドクラウド」はクラウドサービスとオンプレミス両方の「いいとこ取り」を実現できる可能性があるが、考慮すべき点もある。ハイブリッドクラウドのメリットと注意点を、用途ごとに説明する。

2020年07月02日 05時00分 公開
[George LawtonTechTarget]

 企業はオンプレミスとクラウドサービスのITインフラを組み合わせる「ハイブリッドクラウド」の導入を成功させるために、自社がハイブリッドクラウドを必要とするそもそもの理由を明確にすることが必要だ。どのような用途にハイブリッドクラウドは適しているのか。前編「『ハイブリッドクラウド』はなぜ必要か? DXとクラウド移行の観点で考える」に続く本稿は、ハイブリッドクラウドの主要な8つの用途のうち、3つを紹介する。

用途3.災害復旧(DR)

 災害復旧(DR)もハイブリッドクラウドの一般的な用途の一つだ。クラウドサービスをDRサイトとして利用すれば、災害時以外はアイドル(待機)状態になるハードウェアに投資する必要がなくなるため、バックアップの費用対効果を高めることができる。

 ハイブリッドクラウドを利用した復旧の手順や手続きは、オンプレミスのDRサイトを扱うよりも複雑になる傾向があることが課題となる。

用途4.新しいアプリケーションの導入

 企業はデータ分析やハイパフォーマンスコンピューティング(HPC:高性能計算)など、CPUやメモリ、ストレージといったリソースを集中的に使用するアプリケーションを稼働させるときにクラウドサービスを利用できる。クラウドサービスであれば、新しいアプリケーションを小規模から導入できることがメリットだ。

 「アプリケーションの試験的な稼働がうまくいかなかったら、使用した分だけクラウドサービスの利用料金を支払い、次に進めばよい」と話すのは、データ分析サービスを手掛けるPythian Servicesでプリンシパルコンサルタントを務めるワーナー・チャベス氏だ。ハイブリッドクラウドは、必要に応じたリソースの増減を容易にする。

 ハイブリッドクラウドで稼働させていた試用段階のアプリケーションを本番環境に移行するときには、大きな課題が生まれる。アプリケーションによっては大量のデータをクラウドサービスで処理できるようにする必要が生じたり、業界によってはデータに関する法規制の順守が難しくなったりする恐れがある。ハイブリッドクラウドでコストの高騰を防ぎ、最新テクノロジーを適切に利用するためには、経験豊富なスタッフも必要になる。

用途5.製品やサービスの試験導入

 ハイブリッドクラウドを構築することで、企業は特定のベンダーの製品やサービスを導入する大掛かりな取り組みを始める際、まずクラウドサービスで試すことができる。

 こうした試験導入は実導入を遅らせる恐れもある。金融や医療といった、高いリスクを避けて安全性を重視する業界では、こうした遅れはそれほど問題にはならない。スタートアップ(創業間もない企業)など迅速に行動したい企業では、事業戦略に悪影響が生じる恐れがある。

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