医療機関が「クラウドサービス」への移行時に留意すべき3つのデメリット医療機関クラウド移行のメリットとデメリット【後編】

クラウドサービスは医療機関にさまざまなメリットをもたらすが、考慮すべき課題もある。医療機関がクラウドサービスへのシステム移行時に陥りやすい3つの課題を解説する。

2020年07月02日 05時00分 公開
[Reda ChouffaniTechTarget]

 病院やクリニックなどの医療機関のシステムをクラウドサービスに移行させれば、物理的な設備の所有や運用管理の手間から開放される。クラウドサービス市場の活況によって、費用対効果の高いものや、先進的な技術が利用できるものなど、利用すべき価値のあるサービスが次々に登場しており、検討すべき理由は幾つもある。

 ただしクラウドサービスへの移行に伴うメリットを確認した後には、デメリットについても検討しなければならない。クラウドサービスへの移行のメリットを解説した前編「いまさら聞けない、医療機関が『クラウドサービス』に移行する4つのメリット」に続く後編となる本稿は、クラウドサービスへの移行に際して医療機関が留意しなければならない課題やデメリットを幾つか紹介する。

デメリット1.利用料金の見積もりが難しい

 クラウドサービスは通常、従量課金制を採用しており、リソースの使用量に基づいて利用料金が決まる。ストレージであれ、サーバであれ、仮想アプライアンスであれ、請求書は月単位で届くため分かりにくい場合がある。そのためIT担当者は「何に対して利用料金を支払っているのか」「どのようなことが起きているか」を理解するのが難しい。請求書には毎月異なる利用料金が載っているのが一般的だ。「データの転送量が多い」「新たに導入したサービスに対して、いつもと違う請求方法が適用された」など、さまざまな理由で通常よりも利用料金が高くなる月もある。

デメリット2.クラウドサービスの変化に追随しなければならない

 クラウドベンダーを選び、医療機関のITインフラをクラウドサービスに移行させる場合に直面するもう一つの課題が、IT担当者や開発者にトレーニングの機会を用意して、管理スキルを維持することだ。クラウドサービスの内容や要素技術は時間の経過とともに変化するため、クラウドサービスの管理には継続的なトレーニングが必要になる。

デメリット3.セキュリティ対策はクラウドベンダーに“丸投げ”できない

 前編で説明した通りクラウドベンダーは、クラウドサービスを運用する自社インフラのセキュリティを高める工夫を凝らしており、そのためにかなりの投資をしている。ただしクラウドサービス利用時のセキュリティ対策については、ユーザー企業との間で責任を分担する「責任共有モデル」を採用していることが一般的だ。主要なクラウドベンダーは、ユーザー企業が利用可能な基本的なセキュリティ機能を用意している。


 2020年には、自施設のIT環境をモダナイゼーション(近代化)する方法を模索してクラウドサービスに移行する医療機関が増えるだろう。クラウドベンダーが提供する各種サービスのメリットを利用するためだ。だからこそ最高情報責任者(CIO)とIT部門のリーダーは、クラウドサービスへの移行時に直面するリスクや問題点に対処するために適切な事前計画を立てる必要がある。

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