「がん検査100日待ち」が1万人以上――英国の惨状はITで変わるかITで変わるがん治療【前編】

ITの力で「がん」治療に変化を起こそうとしているのが、英国のがん治療専門機関Guy’s Cancerと、医療ITベンダーCareology Healthだ。両組織が目指す地点は。

2022年11月08日 05時00分 公開
[Cliff SaranTechTarget]

関連キーワード

医療IT


 英国のGuy’s Cancerは、医療ITベンダーCareology Healthと5年間のパートナー契約を締結した。Guy’s Cancerは、医療グループGuy’s and St Thomas’NHS Foundation Trust(以下Guy’s and St Thomas’)が運営するがん治療専門機関だ。Guy’s CancerとCareology Healthはがん治療の分野で、Guy’s and St Thomas’における

  • ケア提供能力の拡充
  • 業務効率化
  • 患者満足度の向上

につながるイノベーションを起こそうとしている。両組織は共同開発するがん治療支援ツールについて、英国の国民保健サービス(NHS:National Health Service)関連施設はもちろん、全世界の医療従事者向けに提供することを想定している。

「がん検査100日待ち」解消なるか

 この協業を通じてGuy’s CancerとCareology Healthは、新しいデジタルツールを共同開発する。がん患者の支援を強化し、Guy’s and St Thomas’における臨床的なインサイト(洞察)と臨床データの品質向上、業務効率化を実現するためだ。

 英国では、がんの疑いがある1万人以上の患者が臨床医の診察を受けるまでに104日以上待たなければならない実情がある。Guy’s CancerとCareology Healthがパートナー契約を結んだのは、まさにこの待機患者問題が深刻化しているタイミングだった。「Careology Healthの技術があれば、臨床医と患者が適切にがんを管理できるようになる」。Guy’s and St Thomas’でがん治療と外科のイノベーション担当ディレクターを務めるマジド・カズミ氏はこう考えている。

 「ITは患者と医療従事者に適切な情報を与え、より良い支援の助けになる。的確なサービスを提供し、治療に充てる時間を生み出すこともできる」とカズミ氏は語る。Guy’s CancerとCareology Healthの協業を成功に導き、多くの洞察を得るために、同氏はGuy’s and St Thomas’を代表してCareology Healthの役員に就任した。


 後編は、Guy’s CancerとCareology Healthが共同開発する新しいがん治療支援ツールの機能を解説する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news047.jpg

SASのCMOが語る マーケティング部門が社内の生成AI活用のけん引役に適している理由
データとアナリティクスの世界で半世紀近くにわたり知見を培ってきたSAS。同社のCMOに、...

news159.jpg

SALES ROBOTICSが「カスタマーサクセス支援サービス」を提供
SALES ROBOTICSは、カスタマーサクセスを実現する新サービスの提供を開始した。

news139.jpg

「Fortnite」を活用  朝日広告社がメタバース空間制作サービスとマーケティング支援を開始
朝日広告社は、人気ゲーム「Fortnite」に新たなゲームメタバース空間を公開した。また、...