将来の地域医療連携にも対応する電子カルテ「HOPE/EGMAIN-CX」診療所向け電子カルテ製品紹介:富士通

地域医療連携に向けた政府の新しい取り組みが始まった。その実現の手段として電子カルテが果たす役割は大きく、診療記録の電子化だけではない機能が今後求められることになる。

2010年08月31日 08時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

地域医療連携の基盤となる電子カルテ

 日本政府のIT戦略本部は2010年5月、国家のIT戦略である「新情報通信技術戦略」を発表した。この戦略では「国民本位の電子行政の実現」「地域の絆(きずな)の再生」「新市場の創出と国際展開」の3つを重点項目に掲げており、その具体的な取り組みとスケジュール(工程表)が6月に発表された。その中には「2015年までに“シームレスな地域連携医療”を実現すること」が含まれている。

 政府が考える地域連携医療とは「情報通信技術を活用した、地域医療支援病院を中心とする地域連携クリティカルパスや、医療・介護などの施設間におけるデータの共用などを可能にする体制」のことを指す。日本政府は今後、内閣官房や厚生労働省、経済産業省、総務省などが連携して具体的な方針を2010年度中に固め、2011年度から「地域連携医療情報ネットワークモデル」の構築に着手するとしている。

 診療所における地域連携には、地域の中核病院との紹介状のやりとりや患者の診療情報の共有、検査予約などの連携などが挙げられる。そうした情報連携をスムーズにする手段として、電子カルテが果たす役割は大きい。

画像 富士通の山口氏

 富士通のヘルスケアソリューション事業本部 本部長代理 山口智久氏によると「将来の地域連携に備えて、これからの電子カルテでは診療録の電子化だけでなく、ほかの医療機関との情報共有や患者へのインフォームドコンセントのためのコミュニケーションツールとしての機能も求められている」という。その上で、同社が提供する無床診療所向け電子カルテは「地域連携の機能を標準搭載しており、病院診療所間の連携がスムーズである。また、患者への情報提供を容易にする機能を備えた“開かれたカルテ”を実現できる」と説明する。今回は、富士通の無床診療所向け電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-CX」を紹介する。

富士通のシステム構築ノウハウを生かした電子カルテ

 富士通は電子カルテが市場に登場し始めた1999年から、大規模病院から診療所までの製品を提供。現在は、大規模病院向け「HOPE/EGMAIN-GX」、中堅病院・有床診療所向け「HOPE/EGMAIN-NX」、無床診療所向けHOPE/EGMAIN-CXなどの電子カルテを提供している。山口氏は「医療機関の規模を問わず、電子カルテを提供している点も強み」と語る。HOPE/EGMAIN-CXは、そうした同社の電子カルテシステムの構築ノウハウを生かし、診療所向けに特化した機能を提供しているという。

画像 HOPE/EGMAIN-CX画面《クリックで拡大》

 HOPE/EGMAIN-CXは、医療事務システム「HOPE/SX-J」と連動するクライアント/サーバ型の電子カルテシステム。診察室・処置室などにHOPE/EGMAIN-CXを、診療所の受付にHOPE/SX-Jをそれぞれ配置して、患者情報や受付情報、診察・会計情報などを送受信して処理を行い、診療所の運営を支援する。HOPE/EGMAIN-CXの主な機能は以下の通り。

HOPE/EGMAIN-CXの主要機能(※はオプション機能)
機能 機能詳細
患者情報管理 血縁図作成
経過項目管理
バイタルデータの管理・グラフ化
成長曲線表示
周産期管理
患者管理 受付患者一覧
患者検索
カルテ作成 統合入力ツール(所見入力、テンプレート入力、処置・処方・検査などの診療行為入力、病名入力)
処方チェック
点数表示
指示歴表示
処方せん、指示せん、2号紙印刷
診断書・紹介状の作成および印刷
医学辞典参照
レセプトチェック レセプトチェック機能
チェック結果表示
カルテナビゲータ カルテ見出し表示機能付き診療歴
マーキング(付せん)機能
医事会計機能  ―         
検査系業務 検査結果参照・時系列表示・グラフ化
検査センター連携(依頼・取り込み)
画像系業務 画像時系列表示
再診予約業務 医師別予約、予約票印刷
紹介情報管理 紹介状発信状況表示、返書状況表示
地域医療連携 診療情報提供書作成、処方・検査結果抽出
往診機能 データのダウンロード/アップロード(※)
カルテ検索 条件指定検索
CSVファイル出力
外部システム連携 画像Web参照
透析連携(※)
セキュリティ機能 利用者認証
指紋認証(※)
帳票出力・操作ログ記録機能

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