モダリティとのデータ連携に強みを持つ電子カルテ「TOSMEC TRINITY」診療所向け電子カルテ製品紹介:東芝メディカルシステムズ

医療機関では患者の基本情報からカルテや各種検査データ、レセプトなどさまざまな情報が日々やりとりされている。対応機器が増えれば増えるほど、そのデータはより複雑化して、適切な管理が難しくなってしまう。

2010年06月02日 08時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

迷子になる医用画像データ

 ある患者が診療所に来院する際、受付から診察および検査、会計までの一連の流れの中で、さまざまな種類の情報がやりとりされる。例えば、受付時には患者の基本情報や問診表、診察・検査時には処方・所見などのカルテ情報や各種検査データ、会計時には診療報酬(レセプト)などが使われる。診療所で電子カルテシステムやレセプトコンピュータ、医用画像管理システムなどを導入すると、医師や医療スタッフ間でこれらの情報を共有することが容易になる。

 しかし、それらのシステムを別々に構築した場合、データを管理するサーバが乱立し、その置き場所に思わぬスペースを取られることもある。また、X線装置やCR装置、超音波診断装置などの複数のモダリティで医用画像データを取り扱う場合、各画像データと併せてそのデータがどの患者のものであるかを患者の基本情報とひも付けて管理する必要がある。

画像 東芝メディカルシステムズの杉山氏

 多くのモダリティは医用画像の標準規格「DICOM」に準拠しているが、東芝メディカルシステムズのSI事業部システムソリューション部システムソリューション営業担当課長、杉山直人氏は「DICOMではIDを英数字で管理するため、例えば、“toshiba”と“tosiba”というIDが混在した場合、モダリティ間のデータ連携ができなくなり、医用画像データが迷子になることもある」と指摘する。その上で、同社の診療所向け電子カルテ「TOSMEC TRINITY」は「X線や超音波診断装置、CTなどを含め、診療所のIT化をトータルで支援するソリューションだ」と説明する。今回は、同社のTOSMEC TRINITYを紹介する。

フルHDワイド液晶モニターに対応

 TOSMEC TRINITYは医事会計、電子カルテ、DICOM画像ビュワーの3つの機能を1台の端末で利用可能なオールインワン型システムだ。それぞれの機能を単独で利用したり、組み合わせたりすることがソフトウェアの変更だけで済み、利用者のニーズに合わせて柔軟に導入できる。

画像 TOSMEC TRINITY Wide Version

 東芝メディカルシステムズは2009年10月、他社に先駆けてフルHDワイド液晶モニターを採用した「TOSMEC TRINITY Wide Version」(以下、Wide Version)を製品ラインアップに追加した。Wide Versionでは23.6インチの横長型「16:9」モニターを採用することで、これまで画面の上下で表示していた今回カルテと過去カルテを左右表示することができ、情報がより見やすくなり、入力操作の効率化が図れるという。

画像 TOSMERC TRINITY画面《クリックで拡大》

 TOSMEC TRINITYの主な機能は、以下の通り。

TOSMEC TRINITYの主な機能
業務名 機能
受付支援 問診表入力
保険証取り込み機能
MWM接続による患者ID情報の送信(オプション)
受付と医師間での付せん/伝言機能
電子カルテ(診断支援) ショートカット機能
ボディマーク
治療経過表示
未来日オーダー/次回来院時オーダー
症状・所見テンプレートによる簡易入力支援
レセプト算定誘導/入力チェック
病名と薬剤の適応性チェック/薬剤情報の参照
キーワードによる医学書製「今日の診療」参照(オプション)
検査結果、画像、治療経過のプリントアウト機能
検査・患者説明(インフォームドコンセント)支援 DICOM画像ビュワー(オプション)、各種画像診断装置とのデータ連携(オプション)
会計機能 90種類の保険/公費に対応し、負担限度額計算や強制算定/非算定の包括処理などが可能
レセプトや院外処方せんなどの各種帳票の発行

特許取得済みのショートカット機能

 また、Wide Versionからはこれまでのボタン操作に加え、前回と同じ処方を入力するDo入力の「ドラッグ&ドロップ」やマウスの「右クリック」入力などが可能になった。杉山氏は「電子カルテを使う若い医師が増え、普段から慣れ親しんでいるPCと同じ操作方法で情報を入力したいというニーズが増えている」と説明する。

 さらに、TOSMEC TRINITYには特許取得済みの独自のショートカット機能が搭載されている(特許No.第443536号)。「病名」「オーダー内容」「症状/所見」「シェーマ」の4種類を特定のボタンにセット登録して、ボタン1つでそれらの組み合わせ入力処理が完了する。TOSMEC TRINITYのショートカット機能について、杉山氏は「病名とオーダー内容のセットは他社でも可能だが、症状/所見、シェーマを含めた4種類を自在に組み合わせることができるのはTOSMEC TRINITYだけ」と説明する。これにより、特定の時期に集中する症状や診療科に特有な処理などの入力を簡素化できるという。

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