医療/介護の情報連携に強みを持つ「電子カルテシステムER」病院向け電子カルテ製品紹介:ワイズマン

介護支援システムで国内トップクラスのシェアを誇るワイズマン。同社が提供する電子カルテは、有床診療所や200床前後の中小規模病院を中心に導入されている。

2012年12月19日 08時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

 介護保険/報酬請求ソフトを中心に、全国約2万5000の福祉・介護事業者へのシステムの導入実績があるワイズマン。同社はユーザーの声を受け、医療機関向けシステムの開発に着手し、1997年に病院・診療所向けレセプトコンピュータ(レセコン)「医療事務管理システム」を、2002年に「電子カルテシステムER」を開発・発売している。電子カルテシステムERは、医療・介護の連携支援機能を搭載する点が特徴だ。中小規模の病院(200床以下)や有床診療所を中心に114施設(2012年10月末時点)で導入され、同一グループ内で医療/介護事業を展開する施設でシェアを伸ばしているという。

中小規模病院に適した「電子カルテシステムER」

 電子カルテシステムERは、クライアント/サーバ型システム。「オーダリングシステムER」「病棟看護支援システムER」、医療事務管理システム、リハビリシステムなどと連携し、各システムのデータを共通データベースに集約できる。院内業務の効率化や医師・看護師、部門スタッフ間のシームレスな情報共有や連携によって、チーム医療の推進や医療サービスの質の向上を支援する。

 電子カルテシステムERのカルテ画面構成は、カルテ2号紙の形式。既往歴や主要症状、経過などを表示する「カルテエリア」、処方や手術、処置などの情報を表示する「オーダーエリア」、患者に関するカルテや部門記録などの履歴を表示する「ERガイド」の3つの領域で構成される。

photo 電子カルテシステムERのカルテ画面《クリックで拡大》

 カルテやオーダー、入院経過などを参照するために別ウィンドウを開く必要がある電子カルテもあるが、電子カルテシステムERでは参照情報を画面の半分に集約して表示し、画面の切り替えを減らすことで簡単に操作できるように工夫している。

photo 過去オーダー情報の参照画面例。参照しながら、当日のオーダーを入力できる《クリックで拡大》

 また、SOAP区分ごとの候補入力や診療科別・医師別のテンプレート、シェーマ入力などの入力支援機能を備えている。

photo テンプレート入力例《クリックで拡大》
photo ワイズマンの細越氏

 ワイズマン 医療事業本部 医療営業部 医療営業企画課長 細越 暢氏は「電子カルテシステムERは、中小規模病院や有床診療所の情報共有に適するコンパクトなシステム」と説明する。その理由として、部門システムがなくても、各部門で記録したデータを簡単に共有したり、一元管理できる点を挙げている。

 電子カルテシステムERは「諸記録入力」機能を搭載し、通常は部門システムに入力する情報を電子カルテに記録して一元管理できる。「例えば、医師の診療記録と合わせてアナムネや栄養指導、リハビリカルテなどの情報を“リハビリカンファレンス記録”として集約できる」(細越氏)。また、部門ごとに服薬指導や栄養指導、診断リポートなどの記録テンプレートを作成・利用可能で、履歴データの一括収集や転記入力の作業の軽減などで業務の効率化が図れるという。

photo 諸記録画面《クリックで拡大》

 「入院経過シート」画面ではカルテやオーダー、看護指示、部門諸記録など、医師の回診や病院スタッフの業務に必要な情報を1画面に集約。バイタルサインの時系列表示(グラフ・数値表)やオーダー情報を実施状況と合わせてカレンダー表示する。

photo 入院経過シート《クリックで拡大》

 また、部門間の情報伝達機能として「院内コミュニケーション」ツールを実装。診療開始や受付登録の際、重要な伝達事項を自動表示することで見逃しを防止する。さらにグループウェア「CoMedix」と連動することで、スタッフ間のメールや予定管理、定型文書管理、設備予約なども実施できる。

医療/介護のシームレスな情報連携を可能にする「MC.net」を提供

photo ワイズマンの谷崎氏

 2012年の診療報酬改定では、医療/介護の連携強化が重点課題に掲げられた。また、訪問看護や在宅でのターミナルケアなどの社会的なニーズも広がっている。しかし、ワイズマン 販売促進課 谷崎 愛親子氏によると「患者に関するさまざまなデータが各施設に散在しており、それらを統合できていないのが現状。“どういう連携をすれば、効率的に情報共有できるのか”を手探りで進めている病院や介護施設が多い」という。

 ワイズマンは2012年4月、電子カルテシステムERに医療/介護連携機能「MC.net」を追加。同社の介護支援ソフト「ワイズマンシステムSP」とのシームレスな情報連携が可能になった。医療機関や介護施設・サービス事業者などのデータベースの情報を連携施設のスタッフがMC.netを介してWebブラウザで閲覧できる。医療機関側のデータベースからは「患者基本情報」「紹介状」「カルテ所見」「経営情報」を、介護施設・サービス事業者のデータベースからは「利用者台帳」「ケア記録」「経営情報」などの情報を参照する。また、iPadなどのモバイル端末にも対応しており院外利用も可能だ。

photo MC.net参照画面例。医療施設の電子カルテや看護経過/リハビリ記録と介護施設のケア記録の履歴などを表示。ある特定の患者の記録を継続性のある一連の流れとして確認できる《クリックで拡大》
会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「遠隔医療」に一斉移行した医療機関 その方法とは?

遠隔医療体制を構築する際は、患者や通常業務への影響を押さえながら進める必要がある。パンデミック下で一斉に遠隔医療体制を構築した2つの医療機関の例を紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

オーストラリアの「電子処方箋」制度ができるまでの道のり

オーストラリアでは処方箋の完全電子化が一般化しているが、制度確立までの道のりは平たんではなかった。完全電子化を阻んだ課題とその解決策とは。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

湾岸諸国の「デジタルヘルスケア」推進 重点分野と課題とは?

コロナ禍を契機に、湾岸諸国では「デジタルヘルスケア」への移行が加速している。湾岸諸国におけるデジタルヘルスケア産業の重点投資分野とは。デジタルヘルスケア推進の”壁”とその対処法についても紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

医療機関で起こりがちな「データ品質」低下の理由と、改善に向けた方策とは

医療機関は膨大なデータを扱い、そのデータに基づいて重要な決定を下す場合がある。一方、データの質は低くなりがちだ。それはなぜか。データの品質を改善させるために必要な方策と併せて紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

NHSのデータ基盤計画が英国民の不評を買った理由

英国の国民保健サービスでイングランド地域を管轄するNHS Englandが、医療サービス向けの新データ基盤を構築している。この計画に英国市民団体が“待った”をかけたという。なぜなのか。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

医療/介護の情報連携に強みを持つ「電子カルテシステムER」:病院向け電子カルテ製品紹介:ワイズマン - TechTargetジャパン 医療IT 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�ュ郢晢スウ郢ァ�ー

2025/05/10 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。