医療ITの導入目的が病院内のIT化だけでなく、病院・診療所間の連携を見据えた地域連携に注目が集まる中、病院の電子カルテ導入の現状はどうなっているのだろうか。市場調査を基に、今後の動向を予測する。
シード・プランニングは2010年10月、市場調査リポート『2010年版 電子カルテの市場動向調査』を発表した。このリポートは、電子カルテ(病院向け・診療所向け・歯科向け)とPACSの市場動向を調査し、2014年までの市場規模を予測したものである。本稿では、病院向け電子カルテシステムの市場調査結果を基に、その市場規模や導入シェア、主要ベンダーの最新動向などを紹介する。
2009年の病院向けの電子カルテ市場規模は「870.4億円」で、その納入件数は「340件」となっている。今後、順調に推移し続けて、2015年には市場規模が「1170.2億円」、納入件数が「480件」に上ると予測している。
病院における電子カルテ普及率は「20.7%」である。全体では2割を超えたが、病院規模により、その普及状況は大きく異なる。全国に約8700の病院がある中で約800施設ある「400床以上の大規模病院」では、電子カルテ導入が着々と進んでいる。しかし、約4600施設ある「100床〜399床の中規模病院」の普及率は約20%、約3300施設ある「20床〜99床の小規模病院」の普及率は10%に満たない状況である。
上記のグラフで明らかなように、今後の電子カルテ普及については、中小規模病院の動向によるところが大きい。
以前は、病院内で「電子カルテを導入するか否か」の議論があったが、比較的規模の大きい病院では導入を前提として「いつ導入するか」が検討されている。そして、最近では電子カルテを導入するだけでなく、導入による「病院経営の効率化」や「クリティカルパスの整備」「地域医療連携」などを目的とする案件も増えている。また、今後臨床研修制度で電子カルテを経験した医師が増えれば、電子カルテ未導入というだけで医師募集が困難になる可能性もある。
しかし、病院における電子カルテの最大の課題は「導入費用」で、各病院にとって負担が大きく、すべての病院に電子カルテが導入されるとは限らない。現在も、見積もりを取ってはみたもののその費用が捻出できず、電子カルテ導入を見送る、あるいは先送りする病院もある。
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