アジャイル開発の代表的なフレームワークである「スクラム」は、どのような開発チームやプロジェクトに適するのか。スクラムの具体的な流れと併せて解説する。
開発手法は、開発チームやプロジェクトの性質に合わせて適切なものを選ぶ必要がある。企業の開発では従来、上流工程から下流工程へと順番に開発を進める「ウオーターフォール」型開発を採用するのが主流だった。
近年、企業は開発スピードを重視するようになった。そうした企業を中心に導入が進むのが、小規模な変更を短期間のうちに繰り返す「アジャイル」型開発だ。
アジャイル開発の代表的なフレームワーク(基本的な考え方や進め方)として「スクラム」がある。スクラムはソフトウェア開発でよく用いられる。一方でスクラムのルーツは製造業にあり、製造業や建設業などの分野でもスクラムの適用が奨励されている。
スクラムは、次のような特徴を持つ開発チームやプロジェクトと相性が良い。
スクラムでは、製品の完成像が決定していない状態でも開発に着手する。開発チームは着手から1カ月以内に機能する製品を作り上げ、クライアントに共有する。クライアントは製品を定期的に検証することで、要件を明確化する。開発チームはクライアントからフィードバックを受けた後、改善点を製品に反映するプロセスを繰り返す。
例として、モバイルアプリケーションの開発プロジェクトを見てみよう。ログインボタンを画面上部に配置したところ、「この位置ではログインボタンを押しにくい」とクライアントからフィードバックがあったとする。開発チームはこの意見に迅速に対処し、次のスプリント(短く区切った開発期間)までにログインボタンの位置を変更する。
次回は、ウオーターフォール型からアジャイル型への移行について解説する。
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