LLMを使う際にネックとなるのが回答精度の問題だ。この課題を克服する上で「RAG」(検索拡張生成)が役立つ。RAGはどのようにLLMの回答精度を高めるのか。その仕組みを解説する。
大規模言語モデル(LLM)を活用する上で大きな課題となるのが、ハルシネーション(事実に基づかない回答を出力すること)のリスクだ。こうしたLLMの課題克服に役立つ技術として「RAG」(検索拡張生成)が注目されている。RAGはLLMの回答精度向上にどう役立つのか。その仕組みを解説する。
RAGは、学習データ以外に外部のデータベースから情報を検索、取得し、LLMが事前学習していない情報も回答できるように補う手法を指す。RAGは追加のトレーニングを必要とせずにLLMの回答精度向上が可能になるため、ユーザー企業が独自でモデルをトレーニングする「ファインチューニング」と比べてコスト効率に優れた手法になる可能性がある。
RAGの具体的な仕組みは次の通り。
ユーザーは独自のデータセットをRAGの参照先として設定することで、LLMの回答を独自に調整できる。そのためRAGは、特に専門知識を必要とする分野で活躍する。医療診断や法的なアドバイス、製品レビューなどがその例だ。
例えば、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する最新ニュースを要約して」とLLMに指示したとする。LLMは、COVID-19に関する最新データを保持していないため、回答には古いもしくは不正確な内容が含まれる可能性がある。一方で、RAGの参照先にCOVID-19関連の最新ニュースや統計情報が含まれている場合、そこから最も関連性の高い情報を取得し、最新の情報や正しい内容に基づいた情報を反映して、回答を補強できる。
次回は、RAGに期待される進化について解説する。
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