SSD1GB当たりの平均価格は一時高騰したものの、その後下落が続いている。一方、SAS接続HDDについては、1GB当たりの価格が上昇しているようだ。その背景にある要因とは。
2024年以降、SSDの1GB当たりの単価は下落傾向が続いている。一方、SAS(Serial Attached SCSI)接続のHDDは価格が上昇しているようだ。この価格変動の背景には、どのような要因があるのだろうか。
本稿は、SSDおよびHDDにおける価格変動の要因を探るとともに、ストレージ価格の推移を読み解く上で有効なデータの見方についても解説する。
SSDに使用されるフラッシュメモリの価格は、2023年末から2024年初頭にかけて一時的に高騰した。これは、メーカー各社が価格引き上げと利益確保を目指し、生産を抑制したことが背景にある。SSDの価格は2024年4月に1GB当たり0.095ドルに達し、2023年10月の0.075ドルから26.67%の上昇となった。
2023年末には、SSDの容量単価はさらに高騰すると予測されていた。しかし、メーカー側が生産を増やしたものの需要が追い付かず、結果として価格は下落。2024年4~9月までの半年間で0.095ドルから0.085ドルまで低下し、下落率は10%を上回った。そこからの半年間でさらに7%低下し、2025年3月には約0.079ドルとなった。
一方、SASおよびSATA(Serial ATA)を含むHDD全体の平均価格はほとんど変動していない。2024年9月の1GB当たり0.039ドルから2025年3月の0.041ドルと、わずかな上昇にとどまっている。
ただし、SASドライブ単体に限ると話は違う。SAS接続HDDの価格は2024年9~2025年3月にかけて0.041ドルから0.049ドルと18%上昇した。この理由は明らかではないが、2024年には各メーカーが大容量HDDを相次いで発表したことが影響している可能性がある。例えば、Western Digitalはシングル磁気記録(SMR)方式の32TBモデルを、東芝デバイス&ストレージは24TBおよび28TBモデルを投入している。
上述した内容は、ストレージ製品価格比較Webサイト「diskprices.com」のデータに基づきComputerWeeklyが算出したものだ。diskprices.comはAmazon.comから毎週平均600件以上のストレージ製品の価格や仕様に関するデータを収集している。データはSSDとHDDの種類ごとに分類され、1GB当たりの平均価格が算出される。
調査対象となるストレージは以下の通り。
ストレージの容量は、HDDは1TB未満~26TB、SSDは1TB未満~12TBまで。販売されているストレージ1台当たりの平均容量は約3.8TB。
今回紹介した価格データは、主に一般消費者や中小企業向け製品のものだ。企業向けの価格データは公にされないことから、市場の価格トレンドを把握する上で有効な指標として活用されている。
ユーザーの大半にとっては1GB当たりの価格が主要な判断材料となるが、実際にはストレージのライフサイクル全体にわたる総所有コスト(TCO)も重要だ。TCOには購入価格の他にも、消費電力やメンテナンスコストなどが含まれる。
SSDは、1台当たりの価格はHDDよりも高めだが、メンテナンスコストは低い傾向にある。クラウドストレージベンダーBackblazeの調査によると、同社の2023年第2四半期(2023年4~6月)時点でのSSDの年間故障率(AFR)は0.9%だった。その後SSDのAFRは公表されていないものの、2025年2月に報告されたHDDのAFRは1.57%だった。
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