「バックアップが遅い」の見落としがちな“真犯人”とは?バックアップを遅くする6つの要因【前編】

バックアップの遅延は、コスト増加やデータ損失のリスクを高めかねない。その原因は一見して分かりにくいことがある。バックアップを遅くする3つの要因とは。

2024年10月24日 07時00分 公開
[Stuart BurnsTechTarget]

関連キーワード

バックアップ | 運用管理


 データ保護において、バックアップは不可欠だ。バックアップが遅いと、単に不便なだけではなく、コストの増加につながりかねない。バックアップのジョブが適切なタイミングで完了しないと、想定外の障害や中断が発生した場合にデータが危険にさらされる恐れがある。データを安全に保つためには、スケジュール通りにバックアップを実行し、かかる時間やデータ転送速度などのパフォーマンスを最適化することが重要だ。

 バックアップに問題が発生する可能性のある領域は多岐にわたる。バックアップ管理者がバックアップの遅延に気付いた際に、チェックすべき6つの項目を取り上げる。

「バックアップが遅い」と感じたらまずどこを調べるべき?

要因1.ネットワークパフォーマンス

 帯域幅(データ伝送速度)やレイテンシ(データが送信元から宛先に到達するまでにかかる時間)、接続の安定性などのネットワークパフォーマンスが悪いことは、バックアップを遅くする一般的な原因だ。ネットワーク負荷が集中しているときにバックアップを実行すると、ネットワークパフォーマンスがさらに悪化する可能性がある。バックアップシステムと他のシステムがネットワークを共有している場合、共有帯域幅だけではなく、機器や設計に起因する回線の品質が原因であることも考えられる。頻繁な通信の切断は、バックアップのパフォーマンスに悪影響を及ぼしかねない。

 こうした問題を防ぐには、ネットワーク接続の定期的な監視と、帯域幅やストレージ、CPUといったリソースの消費状況の可視化が有効だ。これによって迅速に問題を特定して対処できるようになる。ネットワークの監視には、帯域幅の使用率やネットワーク機器の負荷、データ転送のエラー率を表示する監視ツールや可視化ツールを活用するとよい。

要因2.リソース

 設備や演算能力などのリソースをそろえるにはお金がかかる。十分なリソースを用意できない制約は、企業のオンプレミスインフラからクラウドベースのバックアップサービスを運営するベンダーまで、どこででも発生する可能性がある。例えばバックアップベンダーが、ハードウェアに負荷がかかる大規模なバックアップ処理に対して、十分なリソースを保持していないといった具合だ。

 バックアップ管理者は、それぞれのリソースがどこで連携しているのか、どのシステムにパフォーマンス低下のリスクがあるのかを把握しておく必要がある。バックアップベンダーを選ぶ際は、候補を徹底的に調査することが欠かせない。サービスレベル契約(SLA)を見て、バックアップサービスの内容と制限を理解することも重要だ。価格だけを見て導入すると、悲惨な結果が待っている。

要因3.スケジューリング

 全てのバックアップを一度に実行するのに十分な帯域幅を備えている企業はめったにない。一度に多くのバックアップをスケジューリングするほど、バックアップ処理が帯域幅を奪い合うため、バックアップが遅延する可能性がある。

 過密なスケジュールの解決策は、賢くスケジューリングすることだ。週末にフルバックアップ、平日には差分バックアップをするのは一つの手だ。差分バックアップを実行することで、より多くの帯域幅を使用したりバックアップデータを増やしたりすることになる可能性がある一方、データ復元の高速化が見込める。


 次回は、4~6つ目の要因を紹介する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

市場調査・トレンド 横河レンタ・リース株式会社

PC運用管理者1030人に聞いた「PC運用の実態調査」、担当者を悩ます課題と解決策

近年の情報システム部門は多数の業務を抱えており、中でもPCの運用・管理担当者の業務負荷をいかに軽減するかが大きな課題となっている。1030人を対象に行った調査をもとに、PC運用・管理業務のあるべき姿を探った。

事例 Asana Japan株式会社

“208カ国の壁”を突破しスズキが残業35%減を実現、その全貌とは

“100年企業”スズキでは、DX推進のアクションプランに、「仕事のシンプル化」「ムダの削減」「全社的な可視化」を挙げている。同社はあるツールを導入したことで、業務の見える化や標準化、残業時間の35%削減を実現したという。

製品資料 SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社

システム乱立やコスト増の課題も、マルチLinux環境の運用をどう効率化する?

企業では「マルチLinux」環境が有効な取り組みとして浸透しているが、一方で管理の複雑化という課題も浮上している。本資料ではマルチLinux環境が浸透してきた背景やその利点を整理し、新たな課題の解決策について解説する。

製品資料 株式会社エクサ

AI時代のデータ管理術、低コストかつセキュアな環境を構築するための方法とは?

 デジタル化やクラウド利用の進展に伴い、企業のデータ量は増加し続け、これを狙うサイバー攻撃も激化している。データを守るためには保管場所が必要だが、低コストかつセキュアな環境を構築するためにはどうすればよいだろうか。

製品レビュー 株式会社ソフトクリエイト

Windows 11アップデートで発生しやすい問題とは? 円滑なOS移行方法を解説

Windows 10のサポート終了が迫り、Windows 11へのアップデートを考えている組織も多いことだろう。当然、アップデートには失敗したくないはずだ。ポイントを本動画で把握して、スムーズなOS移行を実現したい。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...