コンタクトセンターで働くオペレーターの離職は顧客満足度に直結する問題だ。この課題を解決するには、どのような施策が有効なのか。5つの取り組みを紹介する。
顧客応対を担う「コンタクトセンター」でのオペレーターの離職が目立っている。オペレーターの離職率が高まれば、人材の管理にかかる時間や、後任のオペレーターの採用と研修にかかる費用が増すことになる。オペレーターの減少や研修不足は、コンタクトセンターの業績に影響する重大な問題だ。オペレーターの離職を食い止めるために、離職の防止につながる5つの取り組みを紹介する。
オペレーターの都合に応じて調整可能な勤務体系を設定するのは一つの手だ。給与を増額したり、多様なキャリアパスを提供したりする企業もある。
AI(人工知能)ツールを導入すれば、顧客の問題解決に掛ける時間を短縮でき、オペレーターの業務を効率化できる。ただし、そのAIツールを導入する理由を丁寧に説明せずに導入してはならない。期待する効果を引き出すには、まずはオペレーターからの信頼を得る必要がある。新しい技術の導入には適切な手順を踏むことが重要だ。
他部門との情報共有を目的に、チャットツールやWeb会議ツールなどのユニファイドコミュニケーション(UC)ツールやコラボレーションツールと、コンタクトセンターで使用するツールを連携させることも有用だ。顧客応対で生じた問題の解決や取引の成立に向けて、コラボレーションツール経由で適切な担当者に支援を求められるようになる。販売やマーケティング、製品開発部門の担当者が、コンタクトセンターの専門知識を販売促進や戦略の立案に生かすことも可能だ。その結果、事業目標を達成できたり、オペレーターが社内のさまざまな職務を知ることでキャリアパスの選択肢が広がったりする。
オペレーター向けの研修内容をより効果的なものにすることも必要な施策だ。AI技術を活用した研修プログラムは、オペレーターの自信を育むだけではなく、KPI(重要業績評価指標)や事業目標の達成を後押ししたり、顧客対応を改善したりする可能性がある。その結果、オペレーターの従業員体験を向上させることができる。
業務で疲弊したオペレーターをそのままにしておいても、改善することはない。感情分析やパフォーマンス分析の指標を組み合わせて、オペレーターが休憩や追加の研修、調整しやすい勤務スケジュールを必要としている場合に、管理職に通知が届くように設定できるAIツールもある。
オペレーターの従業員満足度と顧客満足度は強く結び付いている。この事実を知ることが、離職率を下げるための第一歩だ。コンタクトセンターのオペレーターの離職率を調査している調査会社Metrigyによると、離職率が15%以下の状態を維持していると、顧客満足度は26%高くなる。
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