辞めないけど、もう頑張らない――「静かな退職」の兆候とは静かな退職をする人々【中編】

自分の職務や勤務先に見切りを付け、非積極的な態度で勤務する「静かな退職」を選んだ従業員は職場でどのように振る舞うのか。そうした従業員の特徴とは。

2024年08月09日 07時15分 公開
[Amanda HetlerTechTarget]

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 退職はしないものの、必要最小限の業務のみをこなす「静かな退職」(クワイエットクイッティング)。静かな退職を選んだ従業員は、職場でどのような行動を取るのか。静かな退職をする従業員に見られる特徴とは。

さまざまな形で表れる「静かな退職」の兆候

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 静かな退職の兆候は、さまざまな形で表れる。静かな退職を選んだ従業員は、以下のような行動を取るようになる。

  • 会議に出席しなくなる
  • 始業時間直前に出社したり、終業時間直後に退社したりする
  • 業務の生産性が低下する
  • 上司や同僚と協力する必要のある業務に貢献しなくなる
  • 業務への情熱や意気込みが感じられなくなる

静かな退職に怒りを込めた「リゼンティーズム」へ発展するケースも

 ストレスを避けるために必要最小限の仕事しかしない静かな退職に対して、仕事に心を捕らわれている状態を体現するのが「リゼンティーズム」(Resenteeism)だ。「怒り」(Resentment)と「常習的な欠勤」(Absenteeism)を組み合わせたリゼンティーズムは、従業員が仕事に怒りや不満を抱えながらも、雇用されている身分を確保したいという理由で働き続けることを指す。中には同僚や経営陣に怒りを示し、社内であつれきを生み、有害な職場環境を生み出す従業員もいる。

従業員が静かな退職に向かわないようにするために、企業ができることは?

 従業員を静かな退職に向かわせないための対策の一つが、従業員体験の改善だ。従業員と会話し、仕事や人間関係について胸の内を語ってもらう。自分は評価されていると従業員が実感できるようにするために、上司として何ができるのかを考えてみることが欠かせない。定期的に激励の言葉をかけるといった一見単純に見える行動も効果的だ。

 従業員とコミュニケーションを取れるようになった次に考えたいのが業務量の調整だ。ワークライフバランスを保ちながら処理できる業務量を見定められるようにする。

  • 業務量が多過ぎて業務時間外でも仕事のことを考えるといった状況は発生していないか
  • プライベートと仕事を切り分けられているか

といった質問を投げ掛け、従業員と率直な意見交換ができる関係を構築することが重要だ。

 従業員のストレス管理も大切だ。従業員に業務用のデバイスやスマートフォンから離れる時間を取れているかどうかを尋ね、適切な距離を保ち健康的に使用できるように啓発したり、心身の健康状態について聞き取りしたりすることがその一助になる。

 将来どのような役職に就きたいか、どのような仕事をしたいかについて従業員と共に協議したり、具体的で実行可能な業務の機会を与えたりすることで、従業員のキャリアパスを支援することも従業員エンゲージメントを高める機会になる。

 「上司から高く評価されている」「仕事から達成感を得られている」といった実感を従業員が持てるように支援できない企業が、静かな退職の増加を食い止めることは困難だ。


 後編は、企業が従業員を退職に追い込む「静かな解雇」を紹介する。

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