ERPの概念と基本的な要素とは?
いまさら聞けないERPシステムの基礎知識、導入形態やコンポーネントを理解する(1/2 ページ)
クラウド、オンプレミス、ハイブリッドのどの導入形態を選ぶにしても、ERPシステムの選択は簡単なことではない。本稿では、メリット、課題、核となるコンポーネントなど、ERP購入時に必要な基礎知識を紹介する。
ERP(統合業務)システムは複数の業務アプリケーション(コンポーネント)群から成る。企業はこのERPシステムを使用して部門間の事業活動を結び付け、全員が同じデータとプロセスを扱えるようにする。
運用効率を上げ、運用を改善することで時間とコストを削減することが、ERPシステムの目的だ。ERPシステムを導入する過程で、多くの業務プロセスを標準化し自動化すれば、人手による作業を減らし、時間を節約することが可能になる。
企業はERPシステムの導入に取り掛かる前に、そのさまざまなコンポーネントから必要なものを選択することになる。多くの場合、改善を希望する具体的な業務プロセスは何か、自社が製品やサービスを販売しているかどうかなどが選択の基準になる。
何らかの製品を販売する企業のERPシステムは一般的に、製造、在庫管理、流通、といったサプライチェーンの各機能を備えなければならない。サービスを提供する企業ならば、授業員がサービスに従事する際のプロジェクト管理に加え、フィールドサービスや営業活動のサポートなどの機能が非常に重要になる。
ERPシステムのメリット
ERPシステムは全社データの単一のリポジトリを提供する。特に大企業には多種多様なシステムが存在する。その多くは各部門が個別にインストールしたシステムだ。こうした企業の場合、長年にわたって放置してきた業務の非効率や遅れを解消するため、単一のERPシステムを導入し、以前のシステムを全て置き換えてしまうことを希望する可能性がある。
中規模企業でもERPシステムによるシステム集約のメリットを生かすことができる。ERPシステムを利用すれば、中規模企業でも大企業と同じ立場で競争できる可能性もある。こうした野心のある中規模企業は、成長に応じて拡張可能なERPシステムを選ぶといいだろう。
ERPシステムを導入するリソースや専門知識を社内に持たない多くの小規模企業は、クラウドベースのERPサービスを利用できる。こうしたサービスでは、ベンダーが低コストで専門技術を提供するため、素早く効率を上げることができる。
規模を問わず、自社が属する業界固有のニーズと要件を満たす専門的なERPシステムを求めている企業も少なくない。そのような特定の業界に特化した製品を提供しているERPベンダーもある。
ERPシステムには、包括的スイートの形を取るタイプもあれば、財務システムのみ、製造システムのみなど、機能を限定した小規模なタイプもある。建設業界や食品業界など、特定の業界向けに設計された専門的なERPシステムを購入することも可能だ。
クラウド、オンプレミス、ハイブリッドERP
最近のERP市場は複雑になっている。特にクラウドERPは分かりづらい。導入計画を立案する前に、徹底的な調査が必須になる。大別すると、ERPベンダーは通常オンプレミス、クラウド、ハイブリッド版のERPシステムを提供している。ただし、クラウド版しか提供していない小規模ベンダーもある。
オンプレミスERPでは、企業のIT部門がハードウェアとソフトウェアを管理する。IT部門が自社のデータセンターでソフトウェアを運用し、導入、保守、カスタマイズを担当する。オンプレミスERPは一般的に、最も負担の大きい導入形態になる。ただし、顧客はセキュリティ対策の内容やアップデートの間隔を細かく制御できる。
クラウド版、中でもSaaS(Software as a Service)版ERPシステムの人気が急速に高まっている。クラウドERPは、その名の通りクラウドでホストされる。その環境は、ベンダー自身が運用するクラウド環境や、Amazon Web Services(AWS)の同名サービスなどのクラウドサービスになる。企業はベンダーにシステムの運用を依頼し、ERPに関するビジネス面でのコンサルティングサービスを受けることもできる。
ベンダーやパートナー企業がベンダーの環境でERPシステムをホストし、ユーザー企業のIT部門がシステムの運用と保守を担う方法もある。
ハイブリッドERPでは、企業がシステムの一部を社内で運用し、それ以外をクラウドで運用する。
ERPベンダーは、今のところクラウドへの移行がERPシステムの将来像だと認めている。これは他のシステムと変わらない。オンプレミス製品で評判を確立している大手ベンダーも、クラウドERPへの簡単な移行手段を用意している。中にはクラウドERPの利用に、金銭的なインセンティブを提供するベンダーもある。一方クラウド専用のシステムを用意し、オンプレミスソフトウェアを提供しないERPベンダーもある。その中間に位置するのが、オンプレミスとクラウドの両方でERPシステムを運用するハイブリッドERPを提供するベンダーだ。
全ての企業に適した唯一のERP導入は存在しない。ERPシステムを完全に社内でホストするか、完全にクラウドに導入するか、その両方を利用するハイブリッド導入を採用するかを選択するのは、ユーザー企業の責任になる。
ERPの課題
ERPシステムを導入する企業にとっての課題は、自社のビジネスニーズとユーザーの期待に最も応えるERPシステムを選択することだ。
ERPシステムは、企業のこれまでの業務プロセスや既存のシステムにうまく適合しなければならない。同時に既存のシステムでは実現できない業績目標の達成に貢献することも求められる。
これは難しい注文で、ERPシステムの導入が他のソフトウェアよりも失敗しやすい理由になっている。ERP導入プロジェクトがうまくいかなければ、多くのマネジャーのキャリアが絶たれる恐れもある。
社内のERPユーザー、CFO(最高財務責任者)、COO(最高執行責任者)、製造部門の統括責任者のいずれであっても、ERPシステムの意思決定者にとっては、システムのインストール、他のシステムとの連携、コンサルティング、プロセス全体にわたるトレーニングとサポートを密接に組み合わせて遂行できるERPパートナーを見つけることが重要になる。
オンプレミスERP、オンプレミスとクラウドベースのERPシステムを組み合わせたハイブリッドERP、クラウドERPのいずれを選択するとしても、自社に最適な導入を見つけることが重要だ。クラウドERPの場合、ベンダーが関与する度合いは、ERPシステムをホストするだけの立場から、ERPシステム全体とそのサポートの受託まで担当する立場まで幅広い。
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