「LTO」準拠テープの年間出荷容量が増加する中で、業界団体TPCsは企業におけるテープの新たな使い道、特にAI技術関連での用途に着目している。なぜ最新技術にテープが活躍する見込みがあるのか。
磁気テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)を策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)の報告によると、LTO準拠テープの総出荷容量が、2021年から2023年にかけて増え続けている。新たなストレージ関連技術が生まれている中でも、企業はテープを積極的に活用しているということだ。
テープの出荷容量が増えた背景にあるのは、テープ1本当たりに保存できるデータ量が増加、つまり記憶密度が高まっていることだけではない。TPCsは技術の進歩、特にAI(人工知能)技術の進歩が、今後テープを含むストレージの需要を増加させると見込んでいる。どういうことなのか。
調査会社IDCのアナリストであるグレッグ・マカティー氏によると、企業は概してAI技術の導入初期段階にあり、その影響がストレージの需要にどう現れるのかはまだ明確ではない。「ほとんどの企業はAI技術を活用したサービスをクラウドサービスとして試し、その有効性を検討している最中だ」とマカティー氏は説明する。
テープはAIモデルが生成する非構造化データを保存するのに適したストレージだ。ただし大半の企業は、AI技術に関する結論をまだ出せていない。
現在、企業がテープを採用する主な理由はコンプライアンス(法令順守)の徹底やコスト効率の良さだ。「企業がテープに新たな用途を見いだせば、テープの価値はさらに高まる」とウェント氏は展望する。
ウェント氏によると、将来的にはテープがAIモデルのトレーニングに活用できるようになる可能性がある。AIモデルのトレーニングに使う教師データには、データの内容や特徴を整理して検索しやすくする「インデックス化」をしなければならない。テープに保存するデータをインデックス化できるようになれば、AIモデルのトレーニングのためにテープからデータを効率的に抽出する技術が確立されることが考えられる。
「テープがAIモデルのトレーニングに使用できるようになれば、大規模データセンターを運営するクラウドベンダーにとっても大きな価値が生まれる。自社サービスの向上だけではなく、クラウドサービスのユーザー企業にも付加価値を提供するようになるだろう」(ウェント氏)
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