今後登場する新世代で、飛躍的な容量増加を遂げる見込みの「テープ」。これまでの中心だったバックアップや長期保存に加えて、新たな活用法が考えられるという。どのようなものなのか。
業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)が公開するロードマップによれば、磁気テープの規格「LTO」(Linear Tape-Open)は世代が新しくなるたびに、基本的には容量が倍増する。現時点から10年以内、つまり2030年代前半には、1本のテープカートリッジ当たりの容量が、圧縮時で1.44P(ペタ)Bとなる「LTO-14」の製品が登場する見込みだ。
こうして容量の増加が見込まれるテープは、従来はバックアップや長期保存用として使われてきた。だがHDDを代替し得る、新しい活用法も浮上している。どのような使い方が考えられるのか。
ストレージの選定ポイントは容量だけではないので、1PB超えのテープが登場したとしても、SSDやHDDの必要性に大きな影響を与えるわけではない。テープはデータを使用する際にはテープカートリッジをテープドライブに読み込ませる必要があるため、データへのアクセス時間がSSDやHDDよりも長くなる。SSDやHDDと比較した場合のテープの利点の一つは、コストだ。
米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリスト、クリストフ・バートランド氏は、テープがHDDに完全に取って代わることはないと前置きしつつも、「HDDの一部の用途がテープに置き換わる可能性はある」と語る。
バートランド氏がその一例として挙げるのは、データをすぐに使用できる状態で保管しておくリポジトリ「アクティブアーカイブ」だ。アクティブアーカイブを構築することで、たまにしか使用しないデータにも、すぐにアクセス可能になる。そのストレージは、基本的には大容量のデータを保管する役割を担うことになるため、SSDやHDDを使うのではコストが膨らみ過ぎて、経済的に非効率になる。テープであれば、アクティブアーカイブの要件に合致しやすい。
テープには、ロボットがテープカートリッジの出し入れを担う「テープライブラリ」というシステムがある。「自動化によって運用管理の負担が減り、テープはより実用的なストレージになってきた」と、バートランド氏は言う。LTOの世代を経るごとに容量が増えれば、「容量単価が下がり、より導入しやすくなる可能性がある」と同氏は付け加える。
マーケティング会社Image Building Mediaのバイスプレジデント兼COO(最高執行責任者)のアラン・マクナブ氏は、同社がテープを使う理由は、コストだけではないと強調する。同社が重視するのは「信頼性」だ。「当社の経験から言うと、テープは驚異的に信頼性が高い。頑丈で、厳しい運用環境にも耐えられる」と、マクナブ氏は話す。こうした信頼性は、遠隔の施設など、本番システムとは異なる場所でテープを保管する場合には特に重要になる。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。
メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。
ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。
CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?
中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...