企業が使うストレージの一種「テープ」が、右肩上がりの出荷容量を維持していることが分かった。SSDやHDDなどのストレージも使われる中で、なぜテープが人気を呼ぶのか。
磁気テープの規格「LTO」(Linear Tape-Open)に準拠したストレージが、出荷容量の好調さを維持していることが分かった。企業は「SSD」や「HDD」には見込みにくい利点を求めて、テープを採用している。具体的にどのような状況なのか。企業がテープを好む理由と併せて見てみよう。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)、IBM、Quantumが構成する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)が、テープの出荷容量をまとめている。同団体の公表数値によれば、テープの出荷容量は右肩上がりの傾向を維持している。
2022年のテープの出荷容量は、圧縮時で148.3E(エクサ)B。その前年の2021年における圧縮時の出荷容量は、2020年比で約40%増となる約148EBという記録的な結果だった。TPCsによれば、2022年の出荷容量は、2021年を0.5%上回った形だ。
テープの需要が高まる背景について、米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリスト、クリストフ・バートランド氏は次のように話す。「企業はデータの長期保管をする必要がある一方で、コスト抑制を重視している。テープの出番が来ている」。特に企業の課題として大きくなっているのは、保管するデータ量が増加を続けることと、法令順守(コンプライアンス)などの目的のためにデータの長期保管が求められていることだという。
調査会社IDCのアナリスト、フィル・グッドウィン氏は、2022年にテープの出荷容量が増えた要因として大きかったのは、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策ニーズの拡大と、保管データ量の増大の2点だと分析する。テープがランサムウェア対策になり得るのは、なぜなのか。それはデータを使用するとき以外は、テープカートリッジをテープドライブから取り出して保管することで、サイバー攻撃者がネットワーク越しにアクセスできない状況を作ることができるからだ。
2021年に引き続き、ハイパースケーラー(大規模なデータセンターを運営する事業者)におけるデータ量の増加が顕著だったとグッドウィン氏は分析する。「ハイパースケーラーは、アクセス頻度の低いデータを保存する場合、テープに経済的利点があると考えている」(同氏)
中編は、テープが今後も使われ続けるのかどうかについて、新たなストレージが登場する可能性を踏まえて考える。
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