IT用語「シンクライアント」の“シン”ってそもそも何? 今でも“シン”なの?“シン”を超えて進化する「シンクライアント」【第1回】

IT用語の基本中の基本である「シンクライアント」。実はその言葉の意味は、技術進化に合わせて実態と微妙に合わなくなってきているという。どういうことなのか。シンクライアントの歴史を踏まえて考えよう。

2023年07月15日 09時30分 公開
[Gabe KnuthTechTarget]

 仮想デスクトップを実現するための製品選定を進める際に、よく目にする言葉に「シンクライアント」がある。シンクライアントという言葉を聞いて連想するのは「必要最小限の機能を備えたクライアントデバイス」といったところだろうか。実はシンクライアントという言葉は、その実態を以前ほど適切に表しているとは言えなくなりつつある。そもそもシンクライアントとは何なのか。もしくは何だったのか。

「シンクライアント」の“シン”はもともと……

 クライアントデバイスの機能を絞り込み、主要な処理をサーバに集約したシステムをシンクライアントと呼ぶ。シンクライアントを構成するクライアントデバイス(シンクライアントデバイス)のことをシンクライアントと呼ぶこともある。

 もともとシンクライアントデバイスは、接続したサーバの画面を転送し、操作する機能だけを持つクライアントデバイスとして登場した。名称に「シン」(Thin:薄い、細い)を含むのは、一般的なPCと比べて可動部品が少なく、必要最小限の機能しか持たないからだ。シンクライアントデバイスはこうした特徴により、通常のクライアントデバイスと比べてメンテナンスやサポートの手間を大幅に軽減できると考えられていた。

 シンクライアントの黎明(れいめい)期である1990年代から、既に25年以上の時がたっている。その間、シンクライアントには新しい関連技術や新たな用途が生まれてきた。

 主に仮想デスクトップを利用するためだけの、従来型のシンクライアントデバイスはいまだに存在する。ただし適切な用語がないために、従来のシンクライアントデバイスよりも多機能でありながら「シンクライアントデバイス」という製品分野に入ってしまっている製品もある。


 第2回は、進化したシンクライアントの技術を見る。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...