IT用語の基本中の基本である「シンクライアント」。実はその言葉の意味は、技術進化に合わせて実態と微妙に合わなくなってきているという。どういうことなのか。シンクライアントの歴史を踏まえて考えよう。
仮想デスクトップを実現するための製品選定を進める際に、よく目にする言葉に「シンクライアント」がある。シンクライアントという言葉を聞いて連想するのは「必要最小限の機能を備えたクライアントデバイス」といったところだろうか。実はシンクライアントという言葉は、その実態を以前ほど適切に表しているとは言えなくなりつつある。そもそもシンクライアントとは何なのか。もしくは何だったのか。
クライアントデバイスの機能を絞り込み、主要な処理をサーバに集約したシステムをシンクライアントと呼ぶ。シンクライアントを構成するクライアントデバイス(シンクライアントデバイス)のことをシンクライアントと呼ぶこともある。
もともとシンクライアントデバイスは、接続したサーバの画面を転送し、操作する機能だけを持つクライアントデバイスとして登場した。名称に「シン」(Thin:薄い、細い)を含むのは、一般的なPCと比べて可動部品が少なく、必要最小限の機能しか持たないからだ。シンクライアントデバイスはこうした特徴により、通常のクライアントデバイスと比べてメンテナンスやサポートの手間を大幅に軽減できると考えられていた。
シンクライアントの黎明(れいめい)期である1990年代から、既に25年以上の時がたっている。その間、シンクライアントには新しい関連技術や新たな用途が生まれてきた。
主に仮想デスクトップを利用するためだけの、従来型のシンクライアントデバイスはいまだに存在する。ただし適切な用語がないために、従来のシンクライアントデバイスよりも多機能でありながら「シンクライアントデバイス」という製品分野に入ってしまっている製品もある。
第2回は、進化したシンクライアントの技術を見る。
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