新しいWebアーキテクチャ「Solid」を設計したのは、Webの生みの親であるティム・バーナーズ・リー氏だ。バーナーズ・リー氏はなぜSolidを生み出したのか。その背景をたどる。
インターネットを通じてWebページを相互に結び付ける「World Wide Web」(Web)。その開発者であり、Webの父として知られるティム・バーナーズ・リー氏は、英国生まれの物理学者だ。
バーナーズ・リー氏は欧州原子核研究機構(CERN)に所属していた1989年から1991年にかけて、当時できたばかりのインターネットを使って研究者が情報を共有するための、さまざまな仕組みを開発した。その例は以下の通りだ。
インターネットの普及によってソーシャルネットワーキングサービス(SNS)をはじめとするオンラインサービスが充実する中、バーナーズ・リー氏はオンラインサービスにおいてエンドユーザーが作成するデータの不適切な管理体制と、そこから波及する影響に強い関心を持った。同氏はマサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)と共同で、新しいWebアーキテクチャ「Solid」の開発に着手。2018年、同氏はSolidの開発を主導する企業としてInruptを立ち上げた。
Solidは、エンドユーザーがデータを分散型で管理する仕組みだ。データを分散管理する他の仕組みとして、ブロックチェーン(分散型台帳)がある。バーナーズ・リー氏は、Solidの要素技術としてブロックチェーンを選ばなかった。同氏はブロックチェーンに対して、以下2つの懸念を挙げる。
次回は、Solidの仕組みを概説する。
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