テープストレージは時代遅れの存在なのではなく、むしろ今後の有望なストレージの候補に挙がるべき存在だ。テープストレージの未来は明るい。その理由とは。
重要なアプリケーションやデータのストレージとして、企業は「SSD」や「HDD」を使用しているが、この状況が今後も続くとは限らない。磁気テープの規格「LTO」(リニアテープオープン)を含めて、各種ストレージ技術の進化が見込まれる中で、特にHDDは大きな変化にさらされる可能性がある。今後の進化を踏まえて、何が起こり得るのかを予測する。
LTOを策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)が公表するロードマップに盛り込まれている「LTO-14」は、1つのテープカートリッジ当たりの容量が圧縮時で1.44PB、非圧縮時で576TBとなる。「1PB超え」という巨大な容量は、将来的なストレージのニーズに応える存在として期待できるばかりか、HDDの立ち位置に無視できない影響を与える。
企業の保管データ量が今後も増え続けることを前提にすると、容量の伸びがSSDやテープストレージほどには見込まれないHDDは、現状ほどには使われなくなる可能性がある。HDDも将来的に、より大容量になると考えられる。ただし継続的な大容量化のためには、フォームファクタ(形状やサイズ)を変更しなければならない可能性がある。そうなると、既存のストレージ製品との互換性を保てるかどうかが懸念点となる。
テープストレージは、LTO-14になってもフォームファクタは変わらない見込みだ。それ以外にも、他のストレージと比較した場合、テープストレージには以下のような利点が見込める。
こうした利点があるテープストレージは、データの長期保存やアーカイブのための記録媒体として使われてきた。一方で近年、テープストレージの利用が再び活発になったことには、他に幾つかの理由が関係している。昨今は、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)をはじめとしたサイバー攻撃から重要なデータを保護する目的で、テープストレージの役割が広がった。テープストレージは、データを使用するとき以外はネットワークから切り離して保管することが基本になるため、他のシステムから隔絶してデータの安全性を確保する「エアギャップ」を物理的に作りやすいからだ。
テープストレージの活用が広がったもう一つの理由が、データをファイル単位で扱えるようにするファイルシステム「LTFS」(Linear Tape File System)の存在だ。LTFSをテープライブラリ(ロボットがテープカートリッジの出し入れを担う大型のテープストレージ)で利用可能にする仕組み「LTFS-LE」(Linear Tape File System-Library Edition)もある。これによって、テープストレージは非アーカイブ用途としても使いやすくなる。
後編は、テープストレージが将来的に実現する可能性のある“期待の進化”を取り上げる。
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