「PCの動作が重い」と感じたら、仮想メモリの設定を見直すチャンスでもある。意外と知られていないその仕組みと活用法とは。
PCの動作が遅くなったと感じたとき、まず疑うべきは「メモリ不足」だ。とはいえ、物理メモリの増設はコストも手間もかかる。そこで「仮想メモリ」が活躍する。仮想メモリはストレージの一部をメモリのように使い、パフォーマンス低下を防ぐための仕組みだ。
多くのOSで標準搭載されている仮想メモリだが、実はその設定次第でPCの快適さは大きく変わることがある。そこで本稿では、どうすれば仮想メモリの恩恵を十分に受けられるのかを解説する。
仮想メモリの設定は難しくない。標準的なOSには仮想メモリに割り当てるストレージ容量を決定する機能が組み込まれている。大抵は初期値で問題ないが、手動での設定が必要な場合もある。例えば、迅速な応答時間が必要で、物理メモリに優先的にアクセスさせたいアプリケーションや、PCに複数のストレージがある場合だ。
仮想メモリを手動で設定する場合は、仮想メモリに割り当てるストレージ容量の「最小値」と「最大値」を指定する必要がある。最大値が少な過ぎると、物理メモリの空き容量が不足した際に、システムの動作が不安定になったり、アプリケーションが正しく動作しなくなったりする恐れがある。
標準的なOSでは、仮想メモリの最大容量を物理メモリの1.5倍〜3倍程度に設定するのが目安とされている。ただし、OSが頻繁に仮想メモリを使用するようであれば、仮想メモリの設定を見直すよりも、物理メモリそのものを増設した方が根本的な解決につながる可能性が高い。
なお、仮想メモリの設定方法はOSごとに異なる。ITの業務に携わるなら、物理メモリ、仮想メモリ、そしてメモリアドレス(メモリ上のデータの位置情報)といったメモリ管理の基本を押さえておくことが重要だ。
MicrosoftのクライアントOS「Windows 11」では以下の手順で仮想メモリを設定できる。
仮想メモリを使用することで、PC動作の安定性や処理能力の向上につなげることができる。具体的なメリットは以下の通りだ。
仮想メモリには多くのメリットがある一方で、以下のような制限やトレードオフも存在する。使用する際はこれらを考慮しておく必要がある。
次回は、仮想メモリの歴史を踏まえながら物理メモリとの違いを解説する。
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