SSDの大容量化が一段と進むことで、「大容量と安さで見るならHDD」という基準は必ずしも適当ではなくなる可能性が出てきた。ストレージ市場に変化をもたらす超大容量SSDとは。
「HDD」は大容量で低廉、「SSD」は高速――。あまり疑うことのなかったこの前提は、消えつつある。SSDは容量100TBを超えるばかりか、そのはるか上を行く開発が明らかになり、HDDを容量で引き離そうとしているからだ。超大容量SSDがストレージ市場にもたらす影響とは。
Pure Storageは、2023年3月にオールフラッシュストレージ「FlashBlade//E」を発表した。その際、同社は独自設計のモジュール(SSDに相当)である「DirectFlash Module」(DFM)のロードマップを説明した。その容量は、現状の1DFM当たり48TBから、2023年末までに100TBまで増える見込みだという。
「たった2倍の容量増加は、達成不可能ではない」。IT情報サイトArchitecting ITのオーナー兼執筆者のクリス・エバンスは、Pure Storageの計画をそう評価する。
Pure Storageの計画は、100TBで終わらない。2026年までに、DFMの容量300TBを目指す方針を明らかにしたのだ。この規模まで大容量化が進むと、SSDとHDDの市場に大きく影響する可能性がある。
影響する可能性があるのは、まずはSSDの容量単価がHDDに次第に近づいていく動きに絡む話だ。SSDが急激に大容量化することで、SSDとHDDの容量単価が同じになるまでの期間が短縮する可能性がある。
エバンス氏はそれに加えて、拡張性の点で、Pure Storageの製品が他の製品を不利な立場に追い込む可能性があると指摘する。例えば30TBのSSDを使うのと、300TBのSDDを使うのでは、拡張による規模感が全く異なるからだ。「他のストレージベンダーが30TBにこだわっているのでは、拡張性では競争にならない」と同氏は言う。
企業にとって、SSDが大容量化することは良いことばかりではない。より大きな規模でストレージシステムの構成を考えなければならないことが注意点の一つだ。データ保護のための容量が大きくなりがちな点にも注意が要る。
300TBのSSDを開発することで、Pure Storageはストレージ市場のけん引役になる可能性を秘めている。少なくとも、同社がデバイスとソフトウェアの両方を自社で開発することは、他のストレージベンダーにはあまり見られない特徴だ。Dell Technologiesなどの競合ベンダーは、基本的にはSSDをパートナー企業から調達してストレージシステムを提供している。
Pure Storageが300TBのSSDを投入するのは2026年で、まだ先のことだ。その間に別の動きがストレージ市場に転換をもたらす可能性はゼロではない。実際、その兆しはある。例えばSamsung Electronicsは、フラッシュメモリのイベント「Flash Memory Summit 2022」で、容量128TBのSSDを展示していた。価格や入手方法などの詳細は公開しておらず、その影響は未知だ。
後編は、SSDがより大容量になることに伴う懸念点と、それを解消する可能性のある動向を紹介する。
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