エンドユーザーが生成するデータを利益に変えることが珍しくなくなる一方、データプライバシーやデータ所有権を巡る議論や規制が活発化している。次世代Web「Solid」が動き出したのは、こうした動きと無縁ではない。
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)をはじめ、無償で利用できるオンラインサービスにはさまざまな種類がある。これらの無償オンラインサービスの運営企業は、エンドユーザーが創作したコンテンツやエンドユーザー間のやりとりといった、エンドユーザーが生成するデータを生かして利益を得ている。ここで疑問が生じる。例えばエンドユーザーがMeta PlatformsのSNS「Facebook」で生成したコンテンツは、エンドユーザーの所有物なのか、それともMetaの所有物なのか――。
こうした議論が発端となり、欧州連合(EU)はデータプライバシーに関する規制である「一般データ保護規則」(GDPR)を制定。米国もGDPRを参考にして「カリフォルニア州消費者プライバシー法」(CCPA)を制定した。データプライバシーとは、データへのアクセス権限を誰が所有するか、誰がそのアクセス権限を認定するかといったことだ。
オンラインサービスのエンドユーザーが懸念するのは、データの所有権やデータプライバシーだけではない。PCやスマートフォン、タブレット、クラウドストレージ、ソーシャルメディアなど、個人がデータを保存する場所は分散し、複雑化している。
インターネットを通じてWebページを相互に結び付ける「World Wide Web」(Web)の開発者であり、マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)の教授を務めるティム・バーナーズ・リー氏は、こうした法的、技術的、社会的な問題を解消する、ユーザーフレンドリーなWebアーキテクチャを設計した。それが「Solid」だ。
データの作成者がデータの所有権を持つ――。これがSolidの基本的な設計思想だ。Solidでは、エンドユーザーがデータを分散型で管理する。これは、巨大IT企業がデータの所有権を管理する、現在のWebアーキテクチャとは異なる。
次回は、バーナーズ・リー氏がSolidを開発するまでの歩みを見る。
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