Google好きの組織が「Chromebook」と「Google Meet」に歓喜の声Googleで強化する「クラウドファースト」【第3回】

英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)は、2011年頃にメールシステムのクラウドサービス移行を実施。導入したGoogleのクラウドサービスは、同協会のIT部門や活動にどのようなメリットをもたらしたのか。

2022年10月04日 05時00分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)は、2011年頃にメールシステムをクラウドサービスに移行させ、オンプレミスシステムの運用を削減した。その後、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)が発生し、同協会はGoogleのツールを積極的に使うようになった。この移行は、同協会のIT部門にさまざまなメリットをもたらした。

クラウド好きの組織が「Chromebook」と「Google Meet」に歓喜

 RSPCAはGoogleのクラウド型オフィススイート「Google Workspace」(旧G Suite)を導入し、保守や運用のコストを削減した。オンプレミスシステムを運用していた頃は同協会の各拠点にエンジニアを派遣することもあったが、その必要はなくなった。

 メールシステムのクラウドサービス移行だけでなく、RSPCAはGoogleのOS「Chrome OS」を搭載したノートPC「Chromebook」を職員に配布した。同協会でITリソース部門のアシスタントディレクターを務めるニック・ジョージ氏によると、職員へのChromebookの導入はスムーズに進んだ。「他のノートPCと比較してChromebookの初期設定は簡単だったため、利用開始がしやすかった」とジョージ氏は語る。

 職員に提供するツールについて悩まされることがなくなり、RSPCAのIT部門は他の業務に専念できるようになった。

パンデミックで再認識したクラウドサービスのメリット 懸念の声も

 2020年春、COVID-19のパンデミックにより、ソーシャルディスタンスの確保とテレワークの実施が余儀なくされた。RSPCAは既にクラウドサービスを活用した働き方を取り入れていたため、この状況に迅速に適応できた。

 パンデミック時、英国ではソーシャルディスタンス確保を求める規制が設けられ、RSPCAは保護動物の譲渡会を開催できなかった。このような状況にもかかわらず、同協会はGoogleのWeb会議ツール「Google Meet」を活用することで、2万9000頭の動物と新しい飼い主のマッチングを実現した。同協会はGoogle Meetを、インスペクター(動物査察官)と獣医師のオンライン連携にも活用している。

 英国では数カ月間のロックダウン(都市封鎖)が実施されたが、RSPCAは「どこからでも利用できる」というクラウドサービスの利点を生かし、動物の保護や新しい飼い主探しをほぼ遅滞することなく継続した。同協会は2020年に合計120万件の通報を受け、14万件以上の動物虐待の疑いがある事件を調査した。そのうち1400件以上の動物虐待案件に有罪の判決が下っている。

 RSPCAでは、Google Meetを利用したWeb会議が1日当たり500件ほど開催されている。ジョージ氏は「職員が新しい技術を積極的に取り入れるようになったことは、パンデミックによるポジティブな影響だった」と話す。

 クラウドサービスを活用するメリットは他にもある。Web会議ツールの活用に伴い、職員が自動車を運転して拠点間を移動する機会は減少した。これにより温室効果ガスの排出量を削減し、環境負荷低減につながっている。同協会の職員は従来、業務で自動車を運転することが基本だった。「Web会議を実施することでサステナビリティ(持続可能性)面に良い影響を与えている」とジョージ氏は語る。

 ジョージ氏は「Web会議ツールに頼りすぎているのではないか」と懸念しているものの、それよりもWeb会議ツールを実施するメリットの方が大きい。「サステナビリティを目標に掲げる組織が増えるにつれ、Web会議ツールの利用が主流となるだろう」と同氏は語る。

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