Teams/Zoomを使うと見えてくる、オフィスの弱点と課題テレワークの次はオフィスの整備

コロナ禍でテレワーク環境の整備が課題になったが、ハイブリッドな働き方に移行すると企業は新たな問題に直面する。「Microsoft Teams」や「Zoom」の利用にオフィス環境は耐えられるだろうか。

2022年06月07日 08時00分 公開
[Cliff SaranComputer Weekly]

 CCS Insightがフランス、ドイツ、スペイン、英国で働く611人を対象とする調査を実施し、2022年に業務で「Microsoft Teams」や「Zoom」を利用した件数は2021年比50%超であることが明らかになった。製品の比率はTeamsが47%、Zoomが41%だった。

 これが携帯電話や卓上電話での通話量に影響し、音声技術市場に混乱を招いている。今後12カ月はビデオ会議アプリケーションの成長が続き、従来型の通話はさらに減少する。ビデオ会議アプリケーションでの音声通話とビデオ通話は堅調に伸びると想定される中、約4分の1の従業員が「今後12カ月の卓上電話の使用頻度は減る」と予想している。

ビデオ会議がもたらす新たな問題

iStock.com/AndreyPopov

 これが幅広いIT戦略に波及し、特にオフィスのネットワークが対応できるかどうかが懸念されるとCCS Insightは指摘する。接続に対する最大の不満として、オフィスの低速なネットワークを挙げる従業員は37%に上る。

 従業員がオフィスに戻ってもオンライン会議の利用は続くため、ネットワークへのプレッシャーはさらに高まるとCCS Insightは警告する。オフィスWi-Fiの信頼性向上も求められる。29%の従業員が既にこれを問題にしている。

 ハイブリッドな働き方に着目すると、回答者の62%がハイブリッドな働き方を望み、1週間のうち3日間は自宅で働くことを希望している。コロナ禍による制限が緩和され始めている地域もあるが、テレワークは引き続き重要な役割を果たすという従業員の考えは変わらない。

 テレワークが可能な従業員の90%はテレワークの継続を希望している。ただし、常時テレワークを希望する従業員は27%で、2020年の34%から大幅に下がっている。

 CCS Insightのアンジェラ・アシェンデン氏(主席アナリスト)は言う。「今後問題になる分野の一つがWi-Fiだ。オフィスでは有線LANが好まれるが、デスクを定めないフリーアドレスにするならWi-Fiの重要性が増す」

 従来型の音声通話がビデオ会議に変わり、加えてWi-Fiの使用率が上がれば、ネットワークに大きな負担が掛かる。

通信の予算

 TeamsやZoomなどのビデオ会議アプリケーションに移行する影響は予算にも波及するとアシェンデン氏は警告する。TeamsやZoomへの投資の多くはIT部門の支出範囲だ。

 IT部門は、最も安価になるように交渉してきた従来の契約を優先させたいと考える。一方、従業員はIT部門の管理が及ばない独自のツールを選ぼうとする。つまり、ネットワークの正確なコストが、従来の契約と従業員が選んだビデオ会議アプリケーションの見えないコストに分断される恐れがある。

 CCS Insightの調査で、従業員の定着という問題に直面する企業が多いことも浮き彫りになった。コロナ禍前の離職率は約11%だったが、今後12カ月以内に転職を考えている従業員は26%に上る。

 離職率が高いのは英国(33%)だ。中堅企業(35%)の離職率も高く、業界別では金融サービス(43%)、IT(39%)、通信およびメディア(36%)などが高くなっている。40歳未満の34%やコロナ禍が始まってから現職に就いた人の50%が離職を考えている。

 従業員の大半がテレワークを行っている状況で、自社とつながっている、あるいは自社に関わっている感覚を生み出すことに企業が苦戦していることがこの数字から明らかになった。多くの企業が、この数字を要因としてオフィス中心の勤務形態に戻るよう従業員に働き掛けている。

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