“クラウドが高い”の真犯人「オーバープロビジョニング」を防ぐ方法クラウドが高い原因はリソースの無駄?【前編】

クラウドサービスの利用が広がる一方、そのコストに悩む企業が目立っている。クラウドコストを抑制するのに有効なのが、オーバープロビジョニングの状況を確認し、削減することだ。具体的な方法とは。

2023年10月31日 05時00分 公開
[Will KellyTechTarget]

 クラウドサービスの利用料金が想定より高くなってしまう原因の一つに、「オーバープロビジョニング」がある。設備やサービスを利用可能な状態にすることをプロビジョニングと呼ぶ。オーバープロビジョニングは設備やサービスの一定領域を余剰領域として確保することだ。

 オーバープロビジョニングがあればあるほど、バックグラウンドに存在しながら使わないリソースが増え、クラウドサービスの利用料金が膨れ上がる。オーバープロビジョニングを防止し、クラウドサービスのコストを抑える方法を解説する。

オーバープロビジョニングを防ぐ方法は?

会員登録(無料)が必要です

 コスト最適化の鍵となるのは、クラウドサービスの利用状況の追跡だ。オーバープロビジョニングを予防するためにはまず、リソース監視用のツールを導入する必要がある。

 CPU、メモリ、ストレージ容量、ネットワーク帯域幅(通信路容量)といったリソースの使用状況を監視するツールを導入し、定期的にモニタリングすることが欠かせない。ツールによっては、使用状況に応じてオートスケーリング(自動的にリソースを増減すること)してくれる。

 各インスタンス(仮想サーバ)のリソース使用状況を可視化し、需要の予測を立ててくれるクラウドコスト管理ツールもある。こうしたツールを活用しながら、各部門に必要な量のリソースプロビジョニングを徹底することが重要だ。

 ツールを導入してリソース使用状況を把握できる状態になったら、会計モデルとしてチャージバック(コスト配賦)モデルを検討するべきだ。一般的に企業のIT予算は情報システム部門が管理しているが、チャージバックモデルはITシステムを導入するための費用をあらかじめ事業部門に振り分ける方法だ。チャージバックモデルは、クラウドサービスのコストを事業部門やプロジェクトを認識してもらい、企業全体で無駄使いを抑制する一助となる。


 中編は、プロビジョニングしたリソースを元の状態に戻す「デプロビジョニング」について解説する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

製品資料 発注ナビ株式会社

商談につながるリードをなぜ獲得できない? 調査で知るSaaSマーケの課題と対策

SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。

製品資料 株式会社ハイレゾ

GPUのスペック不足を解消、生成AIやLLMの開発を加速する注目の選択肢とは?

生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。