法人向けのテープストレージの規格としては、「LTO」(リニアテープオープン)と「IBM 3592」の2種類がある。テープ製品のベンダーが限られる中で、今後の供給体制を不安視する見方がある。
企業が使用するテープストレージの規格としては、「LTO」(リニアテープオープン)と、IBMの独自規格である「IBM 3592」の2種類が使われている。いずれも登場から20年以上にわたって進化を続けてきた規格だ。今後、これら2つのテープストレージの提供が終わることはあるのか。
LTOの第1世代は2000年に市場に登場し、その後IBM 3592が2003年に登場した。両方とも20年以上にわたって進化を続けてきた。IBMは2023年8月に新型テープドライブ「IBM TS1170」を発表し、テープストレージの進化が続ていることを印象付けた。
IBMはLTOのテープ製品もIBM 3592のテープ製品も手掛けており、企業向けのテープストレージベンダーとしては両方のテープドライブを手掛ける独自の存在となっている。
テープ製品を提供するベンダーは、SSDに比べると豊富ではない。ベンダーが限られている状況について、Spectra Logicのマット・ナインスリング氏は「特にテープ製品の供給体制を心配する必要はない」と話す。テープ製品の顧客は多様であり、幅広い用途で使われているため、IBMを中心としたテープ供給体制が崩れるとは考えにくいからだ。
IBMのテープエバンジェリスト兼ストラテジスト、ショーン・ブルーム氏は、テープ市場には独自の協力体制があると指摘する。例えば同社は複数のテープドライブベンダーやテープカートリッジメーカー、システムインテグレーターと共にテープ製品の供給体制を築いている。「製品が供給できなくなるリスクは最小限にとどめる工夫をしている」とブルーム氏は話す。
米TechTarget傘下の調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリスト、クリストフ・バートランド氏も、テープの供給体制を心配していない。「IBM 3592もLTOも長い歴史を持つ規格だ。両方の選択肢が常にあることは企業にとっての安心材料だ」とバートランド氏は話す。
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