「テープ」の出荷本数が増える異常事態 “ありえない”が起きた理由とは?よみがえったテープ人気は続くのか【中編】

LTOのテープは新世代が出るたびに容量が大幅に増加している。これがテープの出荷容量の増加にもつながっている。2021年は予測に反して出荷数も増加に転じた。それはなぜなのか。

2022年06月27日 05時00分 公開
[Paul CrocettiTechTarget]

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 2021年、テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)の出荷容量は前年比で約40%増の148EB(圧縮時)と急増した。LTOの規格は新しくなるたびにテープカートリッジ当たりの保存容量が増えているため、それが出荷容量を増やす要因になる。ただし本当に着目すべき点は、2021年にテープカートリッジの出荷本数も増えたことだ。これは普通の現象ではない。

「テープ」の出荷本数は減るはずだった――なぜ増えたのか?

 LTOを策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(以下、TPCs)によると、2021年のテープカートリッジの出荷数は約910万個で、前年比で約7%の増加になった。

 テープの出荷容量が増えるのは、ストレージ全般への需要が高まる中では自然なことに見える。ただしLTOの規格は2、3年で新世代が登場し、そのたびにカートリッジ当たりの容量が大幅に増えているため、出荷容量は増えても出荷数は減少するのが通例だった。ところが2021年は、出荷容量だけではなく出荷数も増える事態になった。

 例えば容量で見ると、2021年後半に出荷が開始した「LTO-9」は、テープカートリッジ当たりで圧縮時45TB、非圧縮時18TBの容量を提供する。前世代である「LTO-8」の圧縮時30TB、非圧縮時12TBと比べると大幅な増加だ。

 調査会社Evaluator Groupのシニアアナリストであるクリスタ・マコンバー氏によると、幾つかの要因が2021年のテープ市場に影響を与えた。以下の通りだ。

  • テープに関する特許紛争が、2020年の出荷数を阻害した
  • 2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって人手不足や供給不足、輸送の遅れが生じた
  • 2021年はLTO-9準拠の新製品がテープの販売を促進した

 マコンバー氏はLTO-9準拠品が発売したことが大きく影響したと分析する。「LTO-9は1世代前のテープカートリッジしかデータを読み込めないため、企業は新世代のテープ製品に全面的に移行するかどうか選択を迫られることになる」(同氏)

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