ネットワークの基礎と資格【中編】
駆け出しネットワークエンジニアが学ぶべき「ネットワークの基礎」とは
ネットワーク機器の基本的な知識は、全てのITエンジニアにとって必須だ。ネットワークの基礎を学ぶのに適したCisco Systemsの認定資格「CCST Networking」の公式ガイドを書いた著者に、ネットワークの基礎を聞いた。
ネットワークが専門でなくとも、IT担当者はネットワークおよびネットワーク機器の基礎知識を学ぶ必要がある。
ネットワーク機器ベンダーCisco Systemsはエントリーレベルの認定資格「CCST Networking」(Cisco Certified Support Technician Networking)を2023年から提供している。CCST Networkingの公式ガイドブック『Cisco Certified Support Technician CCST Networking 100-150 Official Cert Guide』の著者であるラス・ホワイト氏に、ネットワークのベストプラクティスと、CCST Networkingの重要な知識を聞いた。
ネットワーク初心者が学ぶべきネットワークの基本
併せて読みたいお薦め記事
連載:ネットワークの基礎と資格
ネットワークの技術者がとるべき資格
―― 公式ガイドブックの第10章で「ネットワークの設計時に、物理的、論理的なレイアウトについて、多くの検討事項がある」と書かれていますね。何を検討するのでしょうか。
ホワイト氏 ネットワークの設計では複数の事項を考慮する必要がある。例えば「回路グルーミング」(注)だ。
※注:トラフィックグルーミング、ネットワークグルーミングとも。複数の回線を集約して1つの回線として扱い、帯域幅を効率的に使用する手法。
他にも、データセンター内において、サーバに接続するスイッチをどこに設置するか、そしてケーブルをどのように配線するかといった点が挙げられる。サーバラックの一番上にスイッチを設置するか、それとも下部に設置するかによって、ケーブルの長さや管理のしやすさが変わってくる。複数のサーバラックに対して、スイッチをまとめて設置するラックを配置するかどうかも検討すべきだ
―― ネットワーク構成図は必要でしょうか。ネットワークエンジニアが、構成図なしでネットワークを構築した場合、どのようなことが起こる可能性があるのですか。
ホワイト氏 例えば、ルーターが故障したらどうなるか。どのようにNAT(ネットワークアドレス変換)するのか。トラフィックはどこに再ルーティングされるのか。構成図がなければ何も分からない。何が起こっているのかも分からない。構成図には他にもさまざまな利点がある。例えば、論理ネットワークの構成図から物理的なハードウェアのレイアウトを把握することも可能であり、ネットワーク全体の管理性を向上できる。
―― ネットワーク機器の選定と管理方法について、どのようなアドバイスやベストプラクティスがありますか。
ホワイト氏 最も重要なことは、ネットワーク機器を簡単に交換できるようにしておくことだ。優れた機能を持つからといって、別の機器に交換できないのであれば、特別な事情がない限り、ネットワークに組み込んではいけない。常に「5年後にはどうなっているか」と考えてほしい。ハードウェアに関しては、将来を見据えることが重要だ。ハードウェアはモジュール化され、交換可能であるべきだ。ベンダーの名前よりも重要なことだ。
―― ネットワーク機器ベンダーCisco Systemsが提供するエントリーレベルの認定資格CCST Networkingの取得希望者の多くは、ネットワーク機器について何を理解するのが最も難しいと感じていますか。
ホワイト氏 ほとんどの人は、コネクター関係を除けばハードウェアはそれほど複雑ではない、と感じている。難しいのは、ハードウェアからソフトウェアへの移行に伴う「抽象化」という概念だ。ハードウェアの複雑な仕組みを、ソフトウェアで扱いやすいように単純化して表現することを抽象化と表現する。
ネットワークの場合は、物理的なネットワークの構成を抽象化することで、論理ネットワークを表現する。物理ネットワークも論理ネットワークも、物理的なハードウェアの中を流れる通信だが、同じものではないということを理解する必要がある。抽象化のレベルにも複数の層があり、これを理解するのが本当に難しい。
―― ネットワークが仮想化されるようになり、ソフトウェア定義型アーキテクチャへの移行が進んでいますが、なぜネットワーク機器は重要なのでしょうか。
ホワイト氏 仮想化したネットワークであろうとソフトウェア定義型のネットワークであろうと、結局はどこかで物理的に実行しなければならない。加えて、仮想化やソフトウェア定義を可能とする機能を持つハードウェアが必要だ。前述の通り、ハードウェアは交換可能であることが望ましいが、特定の技術を利用できるハードウェアが必要なことは覚えておく必要がある。
例えば、私の現在の職場ではトンネリングプロトコル「GRE」(Generic Routing Encapsulation)を使ったVPN(仮想プライベートネットワーク)をよく使用している。だが、ほとんどのルーターはGREトンネルを使えなくなっているので、現在はGREを徐々に廃止し、別の方法を探している。
「当社の使っているルーターはGREに準拠していない。別の方法を使ってほしい」と顧客に言われるので、ネットワークアーキテクチャ、少なくとも使用するテクノロジーについて検討し直す必要がある。このようにハードウェアが違いを生む。
工場でも同じ状況が見られる。今でも、電話線しかない工場は珍しくない。Cat5(カテゴリー5)やCat6(カテゴリー6)に準拠したLANケーブルは使えない。広大な工場で、LANケーブルを配線し直すのは不可能だ。それには何百万ドルも掛かるかもしれない。このようにハードウェアが本当に重要だ。ネットワーク構成は物理的な制約から逃れられないからだ。
後編はホワイト氏へのインタビューを基に、どのような人がCCST Networkingを取得すべきなのかを紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
2
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
3
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
4
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
5
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
6
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
7
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
8
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
9
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
10
DXを阻む「動くだけ」のレガシーシステムに決別するための生成AI活用術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー