セキュリティ専門家がキャリアパスについて悩んだとき、一つの選択肢になるのはホワイトハッカーになることだ。刺激的なこの仕事に就くために役立つ認定資格とは。
ハッカーと言えば、攻撃者のイメージだが、攻撃者目線でシステムのセキュリティの弱点を洗い出す「ホワイトハッカー」(倫理的ハッカー)もいる。ホワイトハッカーは多様なスキルを生かせる仕事であるため、セキュリティ分野において魅力的なキャリアパスの一つだ。ホワイトハッカーになるには、どうすればいいのか。倫理的ハッキングに欠かせない知識やノウハウを身に付けられる、“ホワイトハッカー認定資格”とその学習コースを紹介しよう。
Offensive SecurityのPEN-200 Penetration Testing with Kali Linux(PEN-200)は、同社ペネトレーション(侵入)テスト認定資格「OSCP」(Offensive Security Certified Professional)を取得するための学習コースだ。倫理的ハッキングの技術について高度なスキルを得られるという。
PEN-200では、「ホワイトハッカーの考え方」や「既成概念にとらわれない考え方」「失敗しても諦めない方法」などを学ぶ。技術面では、内部ネットワークをはじめとしたインフラに重点を置いている。PEN-200はハッキング可能なシステムをそろえた実験室を用意し、特権昇格やラテラルムーブメント(攻撃拡大)の手法について学習できる。
OSCPの試験は合格ハードルが高いと言われている。ホワイトハッカーを目指す人は不合格を恐れず、挑戦してみるとよい。ただし、数カ月間にわたり試験勉強に没頭する覚悟が必要だ。受験に当たり、以下の知識や経験が推奨される。
Escal Institute of Advanced Technologies(SANS Instituteの名称で事業展開)が提供する認定資格GIACのGWAPTは6日間の学習コースだ。主に、Webアプリケーションのペネトレーションテスト技術を学べる。そのため、GWAPTでは、インフラ中心のPEN-200とは違う知識の取得が可能だ。
GWAPTの学習内容はSANS Instituteの認定資格「SEC542: Web App Penetration Testing and Ethical Hacking」に基づいている。Webアプリケーションのセキュリティ強化を推進するコミュニティー「OWASP」(Open Web Application Security Project)による攻撃防止手法もカバーする。GWAPT試験の内容は以下の通りだ。合格には71%以上の点数が必要になる。
ISC2(International Information System Security Certification Consortium)のCISSPは倫理的ハッキングというよりも、セキュリティ全般についても学べる。そのため、倫理的ハッキングに必要なスキルも取得できる。CISSPは以下の領域をカバーしている。
CISSPを受験するには、上記領域のうち、少なくとも2つで5年の実務経験が求められる。CISSPの試験は125〜175問の選択式問題で構成され、時間は4時間。合格に必要な点数は70%以上だ。
後編は、4つ目と5つ目の認定資格を取り上げる。
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