ソフトウェアのアップデートは放置してはいけない――。当たり前のようにそう言われるのは、なぜなのか。アップデートしないとどうなるのか。アップデートの意義をおさらいする。
サイバー攻撃が活発化している。中でも大規模だったのは、2020年末に判明した「SolarWindsサプライチェーン攻撃」だ。攻撃者は運用管理ベンダーSolarWindsのネットワーク管理ツール「Orion Platform」を悪用し、さまざまな組織にマルウェアを広げた。この攻撃によって被害を受けた組織には、米国土安全保障省(DHS)といった政府機関の他、MicrosoftやIntel、Cisco Systemsなどの大手ITベンダーがある。
攻撃者がシステムに不正アクセスしたり、情報を盗んだりする手口は巧妙化している。攻撃に対抗するシンプルな方法が、ソフトウェアのアップデートだ。企業がソフトウェアをアップデートすべき理由とは何か。主要な5つの理由のうち、1つ目と2つ目を紹介する。
ソフトウェアのアップデートを早急に実施する最大の目的は、セキュリティの向上だ。ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性は、攻撃者がシステムに入り込む入り口になりかねない。脆弱性を悪用し、システムのマルウェア感染を図るのは、攻撃者の基本的な攻撃手法だ。
攻撃者はマルウェアを使ってシステムを制御することで、機密情報を盗むことが可能になる。ドキュメントなどのファイルを暗号化して使えなくすることもできる。パッチ(修正プログラム)は“開かれた扉”をふさぎ、システムを攻撃から守る。
ネットワークを他のユーザーと共有している場合は、さらに注意する必要がある。感染したデバイスから、同僚、友人、家族などネットワーク内の他のユーザーのデバイスに、知らないうちにマルウェアを拡散してしまう可能性があるからだ。
セキュリティを高めるためには、ソフトウェアのアップデートの度にパスワードを更新することも検討しよう。2021年、石油パイプライン大手のColonial Pipelineが受けたランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃は、VPN(仮想プライベートネットワーク)のパスワード流出に起因している。パスワード管理の強化を促す意味で、Colonial Pipelineへの攻撃は企業にとって教訓になった。
攻撃者はソフトウェアの脆弱性を悪用してシステムに侵入した後、ユーザー名やパスワード、クレジットカード番号など、機密情報が含まれるドキュメントを探す。入手した機密情報をダークWeb(特定の手段でのみアクセスできるWebサイト群)で販売する場合もある。ソフトウェアのアップデートは脆弱性を修正するため、データ保護の強化につながる。
中編は、ソフトウェアのアップデートによる新機能の追加やデータ保護の強化を取り上げる。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Windows 10のサポート終了が迫り、Windows 11へのアップデートを考えている組織も多いことだろう。当然、アップデートには失敗したくないはずだ。ポイントを本動画で把握して、スムーズなOS移行を実現したい。
2025年10月14日をもってWindows 10のサポートが終了する。終了後は更新プログラムやセキュリティパッチの提供が停止されることから、セキュリティリスクの増大などが懸念されている。自社に最適な移行を進めるためにどうしたらよいのか。
ハイブリッドワークの定着により、従来のPC運用管理の限界が見えてきた。多様な働き方と、セキュリティ・効率・柔軟性を両立させるためには、クラウドを前提とした新しい管理の形となる「PC運用管理のモダナイズ」が求められている。
Microsoft SharePointは便利かつ柔軟性の高いツールであるがゆえに、「運用管理が複雑化する」「セキュリティ対応が難しい」といった課題も起きやすい。具体的にどのような課題が発生しやすく、どうすれば解決できるのか。
ブラウザは企業にとって重要なエンドポイントの1つだ。攻撃の表面として扱われているため、セキュリティの複雑性も増し、脅威への対応を高度化する必要が生じる。そこで本資料では、企業向けブラウザの強みについて解説する。
デザイン性も機能性も“インカム越え”? 進化した接客用連絡ツールの特徴は? (2025/4/14)
「PoCをした企業」がほぼ導入するアプリケーション監視の新たな解決策 (2025/4/8)
DX推進に向かうにはまず守りの業務の改善から (2025/3/6)
企業のIDを内外から狙う攻撃が急増 ID漏えいを前提とした対策が必要な時代に (2025/3/3)
カスハラから従業員も映像も守る ボディーカメラはあのカメラとどう違う? (2025/1/24)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...