攻撃者集団AvosLockerの手口から考える脆弱性対策【後編】
Avastセキュリティソフトの無効化攻撃を招いた「脆弱性」の正体とは?
トレンドマイクロの研究者は、攻撃者集団「AvosLocker」がAvast Softwareのセキュリティソフトウェアを無効化する際、ある脆弱性を悪用したとみる。その脆弱性とは。
「AvosLocker」は、比較的新しいランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃集団だ。2021年にAvosLockerによるとみられる攻撃が初めて観測されたとき、トレンドマイクロとネットワークセキュリティベンダーPalo Alto Networksは、ランサムウェア攻撃集団「REvil」の活動停止で生じた空隙をAvosLockerが埋めることになる可能性を指摘した。
AvosLockerが悪用した「脆弱性」の正体
併せて読みたいお薦め記事
連載:攻撃者集団AvosLockerの手口から考える脆弱性対策
さまざまな製品の脆弱性
トレンドマイクロは2022年5月に同社公式ブログのエントリ(投稿)で、AvosLockerによるとみられる攻撃として、Avast Software(2021年にNortonLifeLockが買収を発表)のセキュリティソフトウェアを無効化する手口を紹介した。このブログエントリを執筆した同社研究者のクリストファー・オルドネス氏とアルビン・ニエト氏は、AvosLockerはAvast Softwareの正規の「ルートキット」対策ドライバファイル「aswArPot.sys」の脆弱(ぜいじゃく)性を悪用したとみる。ルートキットは、システムに侵入した攻撃者が、システムを遠隔操作するためのソフトウェア一式を指す。
ブログエントリによると、Avast Softwareはトレンドマイクロからの通知を受けて、旧バージョンのaswArPot.sysに脆弱性があったことを認めた。Avast Softwareはこの脆弱性を2021年6月に修正済みだ。ブログエントリには、この修正に関するAvast Softwareの声明が記載されている。声明は以下の通りだ。
当社はMicrosoftと密に連携しています。Microsoftは「Windows 10」「Windows 11」に対して、旧バージョンのaswArPot.sysをメモリにロードできないようにしました。(中略)更新を適用したWindows 10とWindows 11デバイスは、この種の攻撃に対して脆弱ではなくなりました
オルドネス氏とニエト氏は、今回の攻撃の発端が、Zohoの「ManageEngine ADSelfService Plus」(Active Directory」用のパスワード管理ツール)を悪用したプログラムだと考える。ManageEngine ADSelfService Plusの既知の脆弱性「CVE-2021-40539」を悪用した形跡があるからだ。この脆弱性は2021年、セキュリティベンダーSynacktivが開示した。
企業はIT製品のアップデートのペースになかなか付いていけていない。2022年4月、米国など5カ国の法執行機関は、2021年に最も悪用された脆弱性のリストを公開した。Log4ShellとCVE-2021-40539はこのリストに入っており、依然として攻撃者が注目する脆弱性だ。オルドネス氏とニエト氏によると、これまでに見つかった攻撃者集団と同様にAvosLockerも、さまざまなパッチ未適用の脆弱性を悪用して企業ネットワークに侵入している。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] 複雑化しがちな「SASE運用」 IT・医療・金融などの事例に見る導入成功の秘訣 -
製品資料
[フォーティネットジャパン合同会社] 「SD-WAN」導入で失敗しないための5つの重要事項 -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] VPNの代替候補「ZTNA」を理解できるようになる“3大要素”とは? -
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] すぐ分かる「SD-WAN」選定のポイント 成功企業はどんな成果を出した? -
製品資料
[SCSK株式会社] 「Dropbox」管理・運用の困りごと解決ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
7
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
8
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
9
SAP導入後も残る“Excel依存” 京急電鉄は「kintone」でどう解消した?
-
10
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー