北朝鮮の攻撃者グループが悪用したとみられる、「Chrome」の脆弱性「CVE-2022-0609」。実際の攻撃の手口として、Googleは2種類の攻撃を明かした。それぞれどのような攻撃なのか。
Webブラウザ「Chrome」の脆弱(ぜいじゃく)性「CVE-2022-0609」は、第三者が解放済みメモリを使用できるようにする。攻撃者がCVE-2022-0609を悪用すると、任意のプログラムを標的マシンで遠隔実行する「リモートコード実行」が可能になる。
GoogleはChromeのバージョン98.0.4758.102で、CVE-2022-0609を修正済みだ。このパッチの発行前に、北朝鮮に拠点を置く攻撃者グループが2022年1月4日から2月14日(現地時間)の6週間、複数の攻撃の実行に成功していた――。Googleの脅威分析グループ(TAG)は、こうみている。
TAGの研究員であるアダム・ワイデマン氏によると、北朝鮮政府の支援を受けた攻撃者グループが、CVE-2022-0609を悪用して2種類の攻撃を実施した。ワイデマン氏はGoogleのブログエントリで次のように述べる。
攻撃者グループは、共通のサプライチェーンを持つ同じ組織のために活動し、同じエクスプロイトキット(訳注:脆弱性を悪用して攻撃するツール「エクスプロイト」をまとめたもの)を使用しています。一方で私たちは、攻撃者たちは互いに異なるミッションを遂行し、異なる手法を用いているのではないかと考えています。北朝鮮政府の支援を受けている別の攻撃者グループが、同じエクスプロイトキットを利用する可能性もあります
1つ目の攻撃はメディアやIT企業を標的とする。攻撃者グループはWalt Disneyやニュースサイト「Variety」などを名乗る求人メールで、エンドユーザーを偽の求職サイトに誘導。そのWebサイト内に仕込んだエクスプロイトを使って、データを窃取するマルウェアをエンドユーザーのデバイスにインストールさせたという。
2つ目の攻撃は金融機関を標的とする。攻撃者グループは悪質Webサイトにエンドユーザーを誘導し、そのWebサイトでChromeの脆弱性を悪用するスクリプトを実行させて、そのデバイスにリモートアクセス可能になるマルウェアをインストールさせたという。少なくとも85人のエンドユーザーのデバイスに侵入を試みたとみられる。
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