テープ市場の共存と競争【前編】
LTOを軽く超えた「新型テープ」“150TB到達”の衝撃
企業の保管データ量が増える傾向にある中で、あらためて注目を集めたのがテープだ。IBMが発表した新テープシステムは、「LTO」の最新世代より容量が多くなり、テープの進化を再び印象付ける形になった。
テープが依然として進化を続けている事実を印象付けたのは、IBMが2023年8月に発表した新型テープドライブ「IBM TS1170」だ。これはテープ規格として「LTO」(リニアテープオープン)ではなく、「IBM 3592」に従ったテープカートリッジを使用する。
IBMは1952年に「IBM 726」というテープドライブを発売した老舗のテープベンダーだ。2023年現在も企業向けにテープ製品を供給している。同社が今回発表したTS1170が採用するIBM 3592は、テープという点では同じだが、LTOとは別物になる。
「LTO」テープ超え? IBM“新型テープシステム”の正体
併せて読みたいお薦め記事
「テープ」が再び注目を集める理由とは
IBMは、Hewlett Packard Enterprise(HPE)やQuantumと共に、LTOを策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」を構成している。
IBMがTS1170で提供するテープカートリッジの容量は、1本当たり非圧縮時で50TB、圧縮時で150TBとなる。これはLTOの最新版「LTO-9」の容量である非圧縮時18TB、圧縮時45TBを上回るものだ。
IBM 3592とLTOは、テープカートリッジの形状が異なる。IBM 3592のテープカートリッジは、IBMのテープライブラリ「TS4500」や、テープライブラリベンダーSpectra Logicの「TFinity ExaScale」などで利用できる。
Spectra Logicのマット・ナインスリング氏は、企業がIBM 3592とLTOを同時に使うことはあまりないと考えている。ただし、石油・ガス、銀行といった大量のデータを扱う業界や、高性能計算(HPC)を運用する企業は、IBMが今回発表した新テープドライブに関心を示す可能性があると指摘する。
米TechTarget傘下の調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のアナリスト、クリストフ・バートランド氏は「IBMはテープ技術の向上に相当の投資をしている」と評価する。企業におけるデータ保管の需要が高まる中で、テープが近い将来に廃れる気配はない。特に非圧縮時の最大容量が50TBになったことについて、「長期間のデータ保管、サイバーレジリエンス(サイバー攻撃からの回復力)の向上などにおいて極めて重要だ」とバートランド氏は話す。
後編は、IBMがLTOとIBM 3592の両方を手掛けている現状を深掘りする。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
3
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
6
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
7
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
8
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
9
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
10
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー