SSDはHDDほどには目立たないが、企業のデータ保管を支え続けているのが「テープ」だ。テープは製品が進化するのに合わせて、バックアップだけではないさまざまな用途に使われるようになっている。
企業のデータ保管を支える主要ストレージの一つに、「磁気テープ」(以下、テープ)がある。SSDやHDDほど目立つ存在ではないが、テープはバックアップに限らずさまざまな用途に使われるようになっている。テープの最新事情を紹介しよう。
テープの最も一般的な用途は、バックアップだ。主要なバックアップツールは、複数種類のストレージを組み合わせてデータを管理する「階層型ストレージ」の一部にテープを組み込めるようにしている。「テープはさまざまな企業で、バックアップやデータ管理の仕組みの重要な構成要素となっている」。調査会社Freeform Dynamicsのアナリスト、トニー・ロック氏はそう語る。
バックアップを実施する際、企業は「3-2-1ルール」を実践するためのストレージの一つとしてテープを使用している。3-2-1ルールの考え方は以下の通りだ。
データのアーカイブ(長期保管)も、テープの一般的な用途だ。アーカイブでは、テープは「コールドストレージ」に役割を果たす。コールドストレージとは、主にアクセス頻度の低いデータを保管するためのストレージだ。クラウドベンダーなどのハイパースケーラー(大規模データセンターの事業者)は、ストレージサービスのインフラの一部にテープを採用している。
「アクティブアーカイブ」にテープを使用する動きもある。アクティブアーカイブとは、データをすぐに使用できる状態で保管しておくアーカイブを指す。アクティブアーカイブは、例えば以下のような目的で使われている。
コールドストレージだけではなく、「ウォームストレージ」もテープの役割の一つだとロック氏は指摘する。ホットストレージ(頻繁に使用するデータを保管するストレージ)と、コールドストレージの中間的な役割を果たすのがウォームストレージだ。「毎日アクセスする必要はないが、アクセスする際にはある程度の速さが必要になるウォームデータを保管するためのものだ」(同氏)
さらに進んだテープの用途としては、以下がある。
テープは連続するデータの読み込みとデータ転送を得意とするので、これらの用途ではHDDよりもテープの方が適する場合がある。コスト面でも、テープはHDDよりも総じて分がある。
次回は、企業のデータ保管戦略の中で、テープをうまく使いこなすためのこつを紹介する。
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