データセンターではSSDだけではなく、大量のデータを効率的に保存するためのストレージとしてHDDが広く使われている。そのHDDを、データセンターで一切使わないという先進的なアイデアがある。
データセンターは大量のデータを保管する役割を担っている。そこでは「SSD」だけではなく、「HDD」など大容量のデータ保管に適したストレージが使われているのが一般的だ。ただし、SSDの容量単価が下落する傾向が続けば、“SSDのみ”でデータセンターを設計するというアイデアはより現実味を帯びてくることになる。
熱烈なSSD支持者は、データセンターでHDDを一切使わないことに幾つもの利点を見いだしている。SSDでHDDの役割の全てを代替することは本当に可能なのか。HDDにはどのような末路が待ち受けているのか。
「オールフラッシュデータセンター」というアイデアは以前から存在する。オールフラッシュデータセンターは、SSDなどのフラッシュストレージのみを使い、HDDやテープといったSSD以外のストレージを一切使わないデータセンターだ。
このアイデアは、SSDにかかるコストが減少傾向にあることが原動力となっている。例えば1つのメモリセル(データの記憶素子)に1bitではなく複数bitを格納する多値化という手法がある。1つのメモリセルに4bitを格納する「クアッドレベルセル」(QLC)のような技術が使われるようになり、SSDによるデータ保管のコストを以前よりも抑制できるようになってきたのだ。
SSDのI/O(データの入出力)が他のストレージよりも総じて高速になるという特性も、オールフラッシュデータセンターのアイデアを後押しする要素の一つになっている。蓄積したデータを活用して大規模なデータ分析を実行したいという企業のニーズが強くなるにつれ、I/Oをできるだけ高速にする重要性が増している。
そうしたデータ分析に使用するデータには、あまり頻繁には使用しないデータが含まれる。そうしたデータは従来、頻繁に利用するデータ(ホットデータ)とほとんど使わないデータ(コールドデータ)の中間的な位置付けである「ニアライン」のHDDに保存されてきたものだ。そのストレージをSSDに置き換えることができれば、AI(人工知能)技術による大規模なデータ分析がしやすくなり、データから新たな洞察や価値を引き出せるようになる、というのがオールフラッシュデータセンター支持者の見方だ。
「HDDに間もなく終わりがやってくる」という主張を支えているのは、QLCを採用するなどして1台当たりの容量が増大したSSDの存在だ。QLCがHDDの役割を置き換えていくことは十分に起こり得ることだが、必ずしもHDDの用途の全てでQLCが使われるわけではないとみるアナリストもいる。そうしたアナリストの見方では、QLCがさらに普及しても、HDDは一部の用途では使われ続ける。
世界に存在するさまざまなデータの大部分は、いまだにHDDの中にある。その全てをSSDに移行するには、それだけのSSDが必要になる。この視点も、“HDDが消える日”がなかなかやってこない理由の一つになるだろう。
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