「HDDが要らなくなる説」が真剣に語られ始めた理由駆逐するSSD、生き残るHDD【第7回】

PCの内蔵ストレージはほとんどがHDDではなくSSDになっているが、データセンターにおいても同様の変化が起きるのか。「HDDが終わりを迎える」という見方の背景にある変化とは。

2024年04月21日 08時30分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

 ストレージ業界では「HDDが要らなくなる」という意見が目立ち始めた。低コスト化するSSDがHDDを脅かすのは、近年続いている構図ではあった。PCの内蔵ストレージに関しては、ほとんどがデータ読み書きがより高速なSSDに置き換わり、HDDはその役割のほとんどを失ってしまった。

 データセンターにおいて同様の変化が起きるのどうかについては、より複眼的に見極める必要がある。ただし、「HDDが不要になる」という見方が“誇張”ではなく、現実的な問題に変わる動きが確かに起きている。

「HDDが要らなくなる」説が“実際問題”になったのはなぜか

 HDDは終わりを迎えるという主張の背景にあるのは、SSD1台当たりの容量増加が続いていることだ。ストレージベンダーPure Storageは、HDDの終わりを強調するベンダーの一社だ。同社が提供するSSDは、一般的なSSDよりもはるかに多くのデータを保管できることを特徴としている。同社は「2026年までに300TBのSSDを提供する」ことを公言しており、それが実現すればHDDはもはや商業的に成り立たなくなるとみている。

 一方で、HDDが依然として企業のデータセンターで広く使われていることは確かだ。ストレージソフトウェアベンダーのPanasasは、特にハイパースケールデータセンター(大規模なデータセンター)ではHDDがSSDよりも多く採用される傾向にある点を指摘する。同社によれば容量単価ではHDDはSSDの5分の1ほどと依然として開きがあり、「特に大量のデータを保管するデータセンターにHDDは適している」と同社は主張する。

 例えばクラウドストレージにはSSDかHDDが使われていることが一般的だ。ほとんどの場合、ユーザー企業はデータ読み書き処理のパフォーマンスやコストを基準にして利用するサービスを選択する。そのサービスに使われているストレージがSSDなのかHDDなのかについて、十分に把握していなくても大きな問題にはならない。その場合、要はクラウドベンダーが「HDDを使う方が理にかなっている」と考えれば、HDDが引き続き使われ続けることになる。

 ただし、クラウドストレージにおいて利用するストレージの種別をユーザー企業が指定することは可能だ。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleといったクラウドベンダーは、ストレージとしてSSDを指定する選択肢を用意している。価格や容量、パフォーマンスなどの要件に応じて最も適したサービスを選ぶことができる。そうした要件に応じて、I/O(データの入出力)が最も多くなる傾向にあるアプリケーション用のSSD、比較的高いパフォーマンスが求められるアプリケーション用のSSD、といったように利用に適したSSDを選ぶことができる。


 次回は、SSDのみを使用する「オールフラッシュデータセンター」の実現がどこまで現実的な話なのかを考える。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news164.jpg

AIがパッケージデザインを数秒で評価するシステム インテージグループ会社がアジア3カ国で提供開始
パッケージデザイン開発のスピードアップとコストダウン、効率化と高度化を実現。調査結...

news071.png

営業現場のDX、「進んでいない」が7割――Sansan調査
Sansanが実施した「営業活動における実態調査」の結果を紹介します。

news088.jpg

「アドフラウド」の現実 広告費の4分の1が不正なインプレッションにかすめ取られている
「広告費のムダ」がなぜなくならないのか、広告費をムダにしないためにはどうすればいい...