熟練のネットワークエンジニアは、サンドボックスでさまざまなシミュレーションを実施して、ネットワークの安定性を高める。ネットワークにおけるサンドボックスの役割を説明する。
ネットワーク障害は毎日、世界のどこかで起きている。ネットワークの安定性やセキュリティを確保するには、サンドボックス(テストのための隔離環境)が重要になる。ネットワークエンジニアは、ネットワーク内に独立したサンドボックスを構築することで、予期しない問題を防ぎ、円滑にネットワークを運用できるようになる。具体的にはどう活用できるのか。ネットワークでサンドボックスが果たす役割やメリットを解説する。
サンドボックスはシステム内に構築した、外部から隔離された仮想環境のことだ。ネットワークのサンドボックスを作ることによって、本番ネットワークの運用を中断することなくネットワークのトラフィック(ネットワークを流れるデータ)、構成、アプリケーションを分析したり、事前にテストしたりできる。ネットワークエンジニアは、サンドボックスを活用した徹底的なテストにより、ネットワーク障害のリスクを軽減できる
ネットワークエンジニアは運用環境をシミュレーションすることで、ネットワーク変更による障害発生の可能性を事前に予測して対策を打てるようになる。ネットワークが停止する原因には次のようなものがある。
ネットワークにサンドボックスを導入するには、本番ネットワークからサンドボックス用のネットワークリソースを分離し、そこに本番ネットワークの設定や構成を複製する必要がある。
サイバー攻撃をシミュレーションすることで、本番ネットワークに影響を与えずにセキュリティ対策の現状を確認できる。ネットワークエンジニアはサンドボックスを用いたテストによって、ルーターなどネットワーク機器のセキュリティ性能や脆弱(ぜいじゃく)性を評価して、本番ネットワークを強化できる。
ネットワーク機器構成を安全に変更するには、テストが不可欠だ。 構成を徹底的にテストしなければ、ネットワーク運用を中断させる構成ミスが起きる可能性がある。サンドボックスがあれば、変更した構成を実際に運用する前にテストを実施できる。それによってネットワーク構成の変更によるリスクを抑制し、安全に新しい構成を導入することが可能だ。
サンドボックスでネットワークをテストすることで、ネットワークエンジニアは運用環境に影響が生じるシナリオを体験できる。これはネットワークエンジニアにとってのトレーニングになる。例えば、次のようなスキルを磨ける。
次回はサンドボックスのツールを紹介する。
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