「HDDはもう要らない」なんて言えなくなる“HDDまさかの進化”とは?HDDの可能性を広げたHAMR【前編】

HDD不要論がささやかれる中でも、HDDの進化が止まったわけではない。HDDベンダーSeagate Technologyが発表した新技術は“HDD劣勢”の見方を変える可能性がある。HDDはどこまで大容量になるのか。

2024年04月07日 08時00分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

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 HDDは1台当たり20TB超に達し、容量増大の進化は続いているが、今後の可能性はどうなのか。劇的な容量増大は「望み薄」とする見方があり、データ保管のコスト効率向上の点ではむしろ「SSD」に期待が集まる傾向にある。だがHDDベンダーSeagate Technologyが発表した新技術搭載のHDDは、そうした“HDD劣勢”の見方を変える可能性がある。HDDはどこまで容量が増えるのか。

「HDDは要らない」とはもう言えない? “HDDまさかの進化”とは

 Seagateは2024年1月、同社のHDD「Exos」シリーズで容量30TBの製品の出荷を開始する計画であると発表した。同社はこの容量30TBのHDDに、熱アシスト磁気記録方式(HAMR)を使用。データを記録する円盤である「プラッタ」における記録密度を高め、プラッタ1枚当たり3TBの容量を実現した。このプラッタ10枚を搭載することで、HDD1台で30TBの容量が実現した。

 Seagateによれば、同社は今後数年でプラッタ当たりの容量を4TBまたは5TBに増加させる。これにより、今回の発表の段階で30TBに達した同社のHDDの容量は、さらに大幅に増える可能性がある。

HAMRとは

 HAMRは、ドライブのHDDの磁気ヘッド(データ読み書きする部品)に取り付けたレーザーを使用してプラッタ表面を一時的に加熱し、データ書き込みの信頼性を高める技術だ。このHAMRは、Seageteの技術群「Mozaic 3+」を構成する要素の一つとなっている。

 その他、Mozaic 3+を構成する主要技術は以下の通り。

  • 超格子プラチナ合金メディア
    • Mozaic 3+で使われる超格子プラチナ合金メディアは、ナノ(10億分の1)メートルのサイズで粒子が安定するようになる。プラッタにおける記録密度を高めるには、磁性体の粒子を小さくする必要がある。
  • プラズモニックライター
    • プラッタ表面に非常に正確な加熱点を当てるナノフォトニックレーザー技術を使って書き込みを実施する。
  • スピントロニックリーダー
    • スピントロニックリーダーは小型で高感度な磁場読み取りセンサーを搭載しており、プラズモニックライターと共に1つのシステムとして統合されている。
  • コントローラー
    • 独自のSoC(統合型プロセッサ)が書き込みと読み取りの操作を管理する。

 SeagateのCEOであるデイブ・モズリー氏は、同社がプラッタ当たり5TBを視野に入れていることに触れた上で、次のように述べる。「AI(人工知能)技術の利用に伴い、企業はより多くのデータを保存する必要がある。大量のデータの保存には、HDDの記録密度向上がこれまで以上に重要になっている」


 後編は、HAMRのような技術の開発が進む中で、SSDに対するHDDの競争力が今後どうなるのかを考察する。

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