無線LANの業界団体WBAが、IoT向けの無線LAN規格「Wi-Fi HaLow」に関するホワイトペーパーを公開した。今後の活用を見込んで、さまざまなユースケースを検証する。Wi-Fi HaLowとは何か。
無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)が2024年1月、無線LAN規格の「Wi-Fi HaLow」(IEEE 802.11ah)に関するホワイトペーパーを公開した。
Wi-Fi HaLowはIoT(モノのインターネット)向けに標準化された無線LANだ。Wi-Fi HaLowの活用例としてはスマートシティーや「IIoT」(産業用モノのインターネット)、スマート農業などが想定されている。まずはWi-Fi HaLowがどのような規格なのかを確認しよう。
正確に述べると、Wi-Fi HaLowは、無線LANの標準化団体IEEE(米電気電子技術者協会)が標準化を済ませている無線LAN規格IEEE 802.11ahを、もう一つの無線LAN業界団体「Wi-Fi Alliance」が品質や相互接続性などを認証した規格だ。WBAはIEEE 802.11ahを「Wi-Fi HaLow for IoT」と表現している。
通信技術としてのWi-Fi HaLowは、PCやスマートフォンが接続する「Wi-Fi 5」や「Wi-Fi 6」などの無線LANに比べると消費電力が少なく、約1キロの距離を通信可能だ。センサーネットワークやウェアラブルデバイス用のアプリケーション接続にも使用できる。
Wi-Fi HaLowは1GHz以下の周波数帯(日本では920MHz帯)を利用する。一般的なIoT向け通信規格に比べて通信範囲の広さや壁などの障害物の影響を受けにくいため、堅牢(けんろう)な接続性を提供できるとWi-Fi HaLowの支持者たちは考えている。
無線LANアクセスポイント(AP)が起動・動作する時間帯を指定する「ターゲットウェイクタイム」(TWT:Target Wake Time)機能があるため、バッテリーの電力消費を抑えることが可能だ。規格上は1台のAPで数千台のデバイスが接続できる。
今後、WBAのプロジェクトチームは、Wi-Fi HaLowのメリットとパフォーマンスを検証するため、複数のユースケース(想定される使用例)とアプリケーションを使用してテストする。カバレッジ(通信可能エリア)やスループット(データ転送速度)、信号の信頼性といった重要な指標も把握する。
この試験から得られた詳細な分析結果は、新たにWBAが製作する導入ガイドに反映される見込みだ。さまざまな業界でIoTの導入を成功させるのに役立つだろう。
後編ではWi-Fi HaLowがどのようなユースケースを実現できるかを紹介する。
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