パブリッククラウドからオンプレミスへの回帰といった動向が注目される傾向にあるが、実際にITインフラの分野で起きていることは何なのか。Red Hatが分析した。
世間ではパブリッククラウドからオンプレミスに自社システムの大部分を回帰する動きや、逆に大部分をクラウドサービスに移行する動きが注目されやすい。そうした話題はどこまで現実を反映しているのか。ソフトウェアベンダーのRed Hatが世界各国で実施した調査から、そうした注目されがちな動向の実態を含めて、ITインフラ利用の現実と企業の本音が見えてきた。
Red HatはITの予算策定や製品・サービスの購買に関与する人物をITリーダーとして、ITリーダー706人を対象にテクノロジーの動向を調査した。調査内容をまとめたレポート「2024 Global tech trends report」によれば、企業はITインフラにパブリッククラウドとオンプレミスを組み合わせる傾向にあると分かった。
今回の調査では、自社で運用管理しているアプリケーションをどこでホストしているかを調査した。その結果、パブリッククラウドのみと答えた企業が10%、オンプレミスのみと答えた企業が40%、オンプレミスシステムとクラウドサービスを併用する「ハイブリッドクラウド」で50%となった。
オンプレミスに回帰する動きやクラウドサービスへの全面的な移行に関して、Red Hatは次のように指摘している。「パブリッククラウドからオンプレミスへの大規模な回帰も、既存のワークロード用(アプリケーション)データセンターの閉鎖も、いずれも標準的な動きではない」
ITインフラを移行する動きそのものが落ち着いているようだ。今回の調査では、IT予算配分の優先項目で、2023年度比で最も低下した項目が、ワークロード(アプリケーション)の移行管理だった。
Red Hatは「多くの組織が移行を終えてアプリケーションを最も効果的な場所で実行しているか、あるいは、少なくとも現時点では移行を優先していないことを示している」と分析している。
とはいえ、自社アプリケーションのインフラをオンプレミスのみで、あるいはクラウドサービスのみで実行している企業も存在する。オンプレミスのみで実行している企業の選択理由で、最も多かったのは「データセキュリティ」で40%、次いで「データのプライバシー」で37%だった。クラウドサービスのみで運用していると答えた企業はITの「アジリティ」(俊敏性)を特に重視していた。
後編では企業のアプリケーション開発における動向について紹介する。
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