無線LAN「Wi-Fi HaLow」は何に使える? 普通のWi-Fiとはちょっと違う応用例Wi-Fi HaLowが本格始動【後編】

無線LAN規格「Wi-Fi HaLow」(IEEE 802.11ah)は電力消費を抑える機能や約1キロ届く通信など、IoT向けの機能を搭載している。実際にどのような用途に使えるのか。

2024年04月12日 08時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 IoT(モノのインターネット)向けに開発された無線LAN規格「Wi-Fi HaLow」(IEEE 802.11ah)は、複数の分野での活用が想定されている。例えばスマートホームやスマートシティー、スマートビル、スマートリテール、産業用IoT、スマート農業などの分野だ。無線LANの業界団体Wireless Broadband Alliance(WBA)は、Wi-Fi HaLowがこれらの分野で具体的にどのようなユースケース(想定される使用例)を実現するのかを検証している。

普通のWi-Fiとは違う「Wi-Fi HaLow」の応用例とは

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 Wi-Fi HaLowは以下のようなユースケースを実現すると期待されており、WBAのプロジェクトチームが各ユースケースでWi-Fi HaLowのメリットとパフォーマンスを検証する。

  • スマートホーム
    • セキュリティカメラ、空調設備、家電、ガレージ、太陽光発電設備、自家用発電設備、EV(電気自動車)充電器
  • スマートシティー
    • インフラ監視、スマートユーティリティー(電気・ガス・水道などのIoT機器)、交通管理
  • スマートビル
    • 防犯・監視設備、入退室管理、警報機、漏水検知などのスマートビルIoTアプリケーション
  • スマートリテール
    • スキャナー、リーダー、POS(販売時点管理)機器、荷物追跡、セキュリティ監視、倉庫ロボット、搬送器具
  • 産業用IoT(IIoT)
    • 製品や装置の追跡、インフラ監視、機器のリモート制御、安全装置の自動化、セキュリティ監視
  • スマート農業
    • 環境モニタリング、土壌モニタリング、農作物モニタリング、農業機械用アクチュエーター制御、品種改良のためのデータ収集

 実在するシナリオでWi-Fi HaLowを検証した結果は、WBAとその活動を支援する業界メンバーにとって重要なマイルストーンになる。「各シナリオでは、Wi-Fi HaLowが従来の無線LANの接続の問題をどのように解決するかに重点を置いている。従来のIoT向け接続は非標準の無線周波数(RF:Radio Frequency)が必要であったり、所有コストが高額だったりという課題があった」とWBAのCEO、ティアゴ・ロドリゲス氏は語る。

 「今回の導入試験から得られたデータを詳細に分析し、新たな導入ガイドに反映する。さまざまな業界で、IoTによる自動化、洞察、ビジネスメリットを得るために、独占的な通信技術や非IP通信技術に頼ることなく、IoTの導入を支援する」(ロドリゲス氏)

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