2023年、PC市場は厳しい状況にさらされた。ところが2024年になって、復活の兆しを見せ始めている。その背景には、通常のPC買い替えの需要とは異なる、ある動きが関係しているという。何が理由なのか。
PCベンダーにとって2023年は厳しい1年だったが、2024年は好転の兆しが見えている。調査会社CONTEXT WORLD(以下、CONTEXT)の調査と分析によると、従来のPC買い替えとは異なる傾向や、市場全体のある動きが、企業のPC購買行動を変える可能性がある。特にノートPCについては、これまでの苦境とは打って変わって、販売が好転する可能性があるという。具体的に“なぜノートPCが売れるのか”を見ていこう。
CONTEXTは、同社が発行した2024年第1四半期(1~3月)のPC市場に関する予測レポートに関して、「2023年の終わりと共にハードウェア需要は増加に転じる」と述べた。そして実際に同年1、2月のPC市場を同社が分析した結果は、この観測が正しかったことを示すものとなった。
PCの需要増加の背景にある、企業がPCを刷新する理由として、CONTEXTはクライアントOS「Windows 11」の導入や、人工知能(AI)技術を搭載したPCの採用を挙げる。ただしPCの需要を“底上げ”する理由は他にある。
CONTEXTでシニアアナリストを務めるマリークリスティーン・ピゴット氏によると、同2024年第1四半期の、ノートPCをはじめとするモバイルPCの販売台数は、前年同期比で2.5%減~7.1%増になる見通しだ。同社は、2024年上半期のモバイルPC販売台数が2023年よりも上向くと見込んでいる。この理由についてピゴット氏は、2023年の販売台数実績が悪かったことを主な要因として挙げつつ、「地域的な成長と在庫状況の大幅な改善も後押しする」と予測する。
2024年下半期(6~12月)の市場に対するCONTEXTの見通しは、英国などの欧州における経済の利下げによって、欧州でのモバイルPCの売り上げが増加するというものだ。「利下げが需要を喚起し、企業がこれまで先延ばしにしていた購買を実行に移す可能性がある」とピゴット氏は言う。企業はPCの買い替えサイクルや保証期限切れ、Windows 11への移行といった避けられない事情があるため、モバイルPC市場活況の兆しがあるというのだ。
実際に同年第1四半期(1~3月)には、公共部門や教育分野での支出が市場の活性化を後押しし、西欧諸国の一部で地域的な市場の盛り上がりが見られた。「年末にかけて、AI技術を搭載したPCなど、新しい技術が市場に影響を及ぼす見込みだ」(同氏)
CONTEXTの予測によると、2024年第1四半期デスクトップPC販売台数は、厳しかった2023年から8.9%減~0.6%増となり、前年からわずかに成長する見込みがある。
わずかであってもプラス成長になれば、2023年のダウントレンドから逆転する可能性があるということだ。調査会社Gartnerによると、同年のPC出荷台数は前年比14.8%減となり、2年連続で2桁減少を記録した。同年のPC出荷台数は2億5000万台を下回り、2006年以来で最低を記録した。
次回は、PC市場を盛り上げようとするベンダーの動向を紹介する。
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