Gartnerによれば、2023年のPC市場は大幅な減少になった。一方で、2024年1月のCESでPCベンダー各社が「AI PC」を披露した。どのようなPCなのか。
調査会社Gartnerによると2023年はPC出荷台数が全世界で前年比14.8%減少し、2年連続で2桁減少を記録した。そうしたPC市場の“救い主”となる可能性があるのが、人工知能(AI)技術の利用に最適化した「AI PC」だ。2024年1月に米ラスベガスで開催された電子機器の年次イベント「Consumer Electronics Show」(CES)で、LenovoやHP、Dell TechnologiesといったPCベンダーがAI PCを発表した。
LenovoはノートPC「Yoga」シリーズから、AI PCの2機種を発表した。「Yoga Pro 9i Gen 9」と「Yoga 9i 2-in-1 Gen 9」(タブレットとしてもノートPCとしても使える2-in-1デバイス)はいずれも、Intelが2023年12月に発表したAI PC用プロセッサ「Core Ultra」を搭載。Lenovo独自開発のAI技術処理用プロセッサ「Lenovo AI Core Chip」も備え、AI技術を利用しやすくしているという。
両機種は「Lenovo X Power」と呼ばれるソフトウェアも採用。Lenovo X Powerは、機械学習(ML)を利用した3D(3次元)レンダリングを可能にする。大規模言語モデル(LLM)を搭載したMicrosoftの業務支援ツール「Copilot for Microsoft 365」の専用キーも備えた。
Dell Technologiesは2024年1月、ノートPC「XPS」のハイエンド機種「XPS 16」を発表した。Core Ultraに加え、NVIDIAのGPU(グラフィックス処理装置)「GeForce RTX」を搭載。AI技術を使ったソフトウェアのテストを主な用途としているという。
HPはCESで、2-in-1ノートPC「HP Spectre x360」の14型モデルと16型モデルを発表した。どちらもAI PC用プロセッサであるNPU(ニューラル処理装置)を搭載し、CPU(中央処理装置)とGPUを補う形で処理能力を高めている。
シンクライアント分野でもHPはAI技術利用に最適化した製品を投入している。「HP Elite t755 Thin Client」はCPU性能が約7割向上したという。ハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)の普及を受け、場所を問わず、高度なデータ処理が必要な仕事をこなせるようにしている。リスク監視や侵入検知といった機能を備え、セキュリティも強化したとHPは説明する。
MicrosoftのOS「Windows 10」が2025年10月にサポート終了(EOS)を迎える。そのため、2024年から2025年半ばにかけて企業でPCの買い替え需要が発生すると考えられる。PCベンダーはいかにAI PCの魅力的な製品を投入し、その価値を伝えられるかが腕の見せどころになる。
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