ユーザー認証のリスクと安全対策【前編】
「パスワード」どころか「多要素認証」(MFA)さえ“万全な保護策”ではない
不正アクセスを防ぐために、ユーザーの認証をより安全にすることが欠かせない。従来の認証方法には、幾つかの弱点がある。主要な4つの認証手法について、何がリスクになるのかをまとめる。
IDおよびアクセス管理(IAM)ツールは、生体認証(バイオメトリクス認証)の技術を取り入れることによって進化を遂げている。生体認証はユーザーにとっての使いやすさだけではなく、セキュリティの向上にもつながる。従来の認証の仕組みではなぜ危ないのか。パスワードをはじめとした従来の“4つ認証方法”の特徴とリスクを整理しておく。
パスワードもMFAも危ない? 主要な認証方法4つの弱点
併せて読みたいお薦め記事
そもそも「IAM」とは何か
まずはIAMツールの現状から確認しよう。従来のIAMツールは主に以下の認証手法を採用している。
- パスワード
- パスワードは長年にわたり、不正アクセスを防止する主要な手段だった。ユーザーアカウントはもちろん、共有ファイルやネットワークへのアクセスも制御する。
- 多要素認証(MFA)
- MFA技術は、パスワードによる認証よりも高い安全性を確保するための認証手法だ。ログインしたいユーザーに対し、本人かどうかの確認情報として複数の要素を求める。例えば、ユーザーのスマートフォンにワンタイムパスワード(OTP)を送信し、ログインの際に入力させる。
- IDカード
- 従業員や訪問者にIDカードを提供し、建物やオフィスへの物理的なアクセスを許可する。
- 非接触型カード
- 非接触型カードにチップを内蔵し、無線周波数(RF:Radio Frequency)技術を使ってデータを保存したり転送したりする。この技術はデビットカードやクレジットカードでも使われているので、なじみがある人も少なくないだろう。
上記4つの認証手法のセキュリティ的な弱点は以下の通り。
パスワード
パスワードはユーザーの不注意やフィッシングメールなどによって攻撃者に流出する恐れがあるため、脆弱(ぜいじゃく)な認証手法だと考えられる。特に危険なのは、複数のユーザーがパスワードを共有することだ。パスワードの流出はシステムへの不正アクセスや、データの窃盗と悪用を招く可能性がある。組織は日頃のしっかりしたパスワード管理に加え、従業員が退職した際にはその従業員のパスワードをすぐに無効化するといった対処をする必要がある。
MFA
MFAはパスワードによる認証よりもセキュリティを強固にすることができる。ただしユーザーはMFAの利用に当たり、スマートフォンにMFA用のソフトウェアをインストールしたり、ログインの度に必要な手順を踏んだりしなければならない。そのため、MFAを「面倒だ」と感じるユーザーもいるだろう。
他にもMFAではワンタイムパスワードを受け取るために、ネットワークに接続する必要がある。何らかの問題でネットワークが使えなければ、ユーザーはシステムにアクセスできなくなる。
IDカード
IDカードでは複数の従業員が共有したり、貸し借りをしたりできる点がリスクになる。IDカードを不正な行為に悪用されてしまう可能性があるからだ。IDカードの盗難や置き忘れもリスクになる。IDカードは、攻撃者に偽造されかねない点においても注意が必要だ。
非接触型カード
非接触型カードはIDカードと同様、盗難や置き忘れ、偽造などのリスクがある。非接触型カードは普及につれて攻撃者に狙われるようになり、近年はこれを介したセキュリティインシデントが広がっている。非接触型カードはコストも課題だ。利用に当たり、カードリーダーやソフトウェア、運用管理の費用が発生する。
後編は、本稿で取り上げたリスクを踏まえ、生体認証がIAMをどのように“より安全”にできるのかを考える。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
なぜワンキャリアは障害復旧を3時間から1時間以内に短縮できたのか -
製品資料
自社のDevSecOpsはどこまで進んでいる? 進捗を測る指針“成熟度モデル”とは -
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
事例
三菱ケミカルが脆弱性への迅速な対応フローを実現した方法とは? -
技術文書・技術解説
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
2
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
3
契約作成からKYCまでAIが完結 独金融大手が3000人を削減してまで狙う破壊的効率化
-
4
「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断
-
5
「業務改善とツール活用」に関するアンケート
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
【漫画付き】"RAG導入失敗3例"と処方箋 「入れても使われない」を終わらせる
-
8
GitHub Copilotを使いこなす第一歩 初めてのプロンプト6つのコツ
-
9
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
10
ただで使い「12時間以内の復旧」を迫る 無償OSSを商用扱いする日本企業の末路
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
6
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
7
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
8
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
9
動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
-
10
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー