不正アクセスを防ぐために、ユーザーの認証をより安全にすることが欠かせない。従来の認証方法には、幾つかの弱点がある。主要な4つの認証手法について、何がリスクになるのかをまとめる。
IDおよびアクセス管理(IAM)ツールは、生体認証(バイオメトリクス認証)の技術を取り入れることによって進化を遂げている。生体認証はユーザーにとっての使いやすさだけではなく、セキュリティの向上にもつながる。従来の認証の仕組みではなぜ危ないのか。パスワードをはじめとした従来の“4つ認証方法”の特徴とリスクを整理しておく。
まずはIAMツールの現状から確認しよう。従来のIAMツールは主に以下の認証手法を採用している。
上記4つの認証手法のセキュリティ的な弱点は以下の通り。
パスワードはユーザーの不注意やフィッシングメールなどによって攻撃者に流出する恐れがあるため、脆弱(ぜいじゃく)な認証手法だと考えられる。特に危険なのは、複数のユーザーがパスワードを共有することだ。パスワードの流出はシステムへの不正アクセスや、データの窃盗と悪用を招く可能性がある。組織は日頃のしっかりしたパスワード管理に加え、従業員が退職した際にはその従業員のパスワードをすぐに無効化するといった対処をする必要がある。
MFAはパスワードによる認証よりもセキュリティを強固にすることができる。ただしユーザーはMFAの利用に当たり、スマートフォンにMFA用のソフトウェアをインストールしたり、ログインの度に必要な手順を踏んだりしなければならない。そのため、MFAを「面倒だ」と感じるユーザーもいるだろう。
他にもMFAではワンタイムパスワードを受け取るために、ネットワークに接続する必要がある。何らかの問題でネットワークが使えなければ、ユーザーはシステムにアクセスできなくなる。
IDカードでは複数の従業員が共有したり、貸し借りをしたりできる点がリスクになる。IDカードを不正な行為に悪用されてしまう可能性があるからだ。IDカードの盗難や置き忘れもリスクになる。IDカードは、攻撃者に偽造されかねない点においても注意が必要だ。
非接触型カードはIDカードと同様、盗難や置き忘れ、偽造などのリスクがある。非接触型カードは普及につれて攻撃者に狙われるようになり、近年はこれを介したセキュリティインシデントが広がっている。非接触型カードはコストも課題だ。利用に当たり、カードリーダーやソフトウェア、運用管理の費用が発生する。
後編は、本稿で取り上げたリスクを踏まえ、生体認証がIAMをどのように“より安全”にできるのかを考える。
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