AWSはIDおよびアクセス管理(IAM)のクラウドサービス「クラウドIAM」を提供する。その中から「AWS IAM」「Amazon Cognito」「AWS Directory Service」の特徴を説明する。
「IAM」(IDおよびアクセス管理)はアプリケーションの安全性を確保するために欠かせない。企業がIAMを導入して、さまざまなアプリケーションへのアクセス制御を実現するには時間がかかる。Amazon Web Services(AWS)はIAMのクラウドサービス(以下、クラウドIAM)を複数提供している。こうしたクラウドIAMを利用すれば、IT部門はIAMの導入にかかる時間を短縮できる。
AWSのクラウドIAMの中でどれが適切かは、アクセス制御の対象となるアプリケーションと、それに関する企業固有のさまざまな要因が左右する。アプリケーション開発に使うフレームワーク(特定の設計思想に基づくプログラム部品やドキュメントの集合体)や企業規模、社外システムとの連携状況などが関係する。
本稿はAWSのさまざまなクラウドIAMの中から「AWS Identity and Access Management」(AWS IAM)と「Amazon Cognito」「AWS Directory Service」の3サービスの特徴と、それぞれのサービスが適する用途を説明する。
AWS IAMはAWSの基本的なクラウドIAMだ。IDおよびポリシーに基づいた詳細なアクセス制御を実現する。アプリケーション管理者はAWS IAMを利用して、エンドユーザーに対してAWSのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)やリソースへのアクセス権限を付与できる。管理コンソール「AWS Management Console」(AWSマネジメントコンソール)やソフトウェア開発キット(SDK)、コマンドラインインタフェース(CLI)を通じてAWS IAMを利用する。
他にもAWSのクラウドIAMは複数存在する。こうしたクラウドIAMは、AWS IAMと比べてアクセス制御の対象を絞っている。
Amazon Cognitoは、アプリケーションにエンドユーザーの認証機能を追加するためのクラウドIAMだ。AWSリソースへの簡単なアクセス制御機能も利用できる。
「ユーザープール」というユーザーディレクトリが、Amazon Cognitoの特徴だ。ユーザープールを利用することで、管理者はアプリケーションにアクセスするエンドユーザーに関するデータを保管できる。開発者はAmazon CognitoでIDとパスワードのルールを設定したり、FacebookやGoogleなどのサードパーティーIDプロバイダーとのIDフェデレーション(認証連携)を実現したりすることが可能だ。
Amazon CognitoはアプリケーションからAWSリソースへのアクセス権限を管理することもできる。管理者はWebアプリケーション開発サービスの「AWS Amplify」を通してAmazon Cognitoを利用できる。
Microsoftのディレクトリサーバ「Active Directory」をAWSが運用して提供するマネージドサービスが、AWS Directory Serviceだ。AWS Directory ServiceはオンプレミスのActive Directoryとクレデンシャル(IDやパスワードなど認証に必要なデータ)を同期し、エンドユーザーに対してAWSサービスのリソースやAWSマネジメントコンソールへのアクセス権を付与する。AWS Directory Serviceは仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)やデータベースサービス「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)のインスタンス(仮想サーバ)など、さまざまなリソースに対する認証に利用できる。
AWSで稼働するアプリケーションに対して、オンプレミスシステムへのアクセス権を付与することも可能だ。そのためオンプレミスインフラとクラウドサービスを併用するハイブリッドクラウドを構築・運用する企業に適している。
中編は「AWS Resource Access Manager」「AWS Organizations」「AWS Control Tower」を説明する。
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