「Amazon S3」の“うっかり”設定ミスを防ぐ「IAM Access Analyzer」とは保存データを外部に流出させない

Amazon Web Services(AWS)のセキュリティ新機能「AWS Identity and Access Management Access Analyzer」は、ユーザーが保存したデータを“うっかりミス”で漏えいさせる事態を防止するという。その詳細とは。

2020年01月16日 10時05分 公開
[Michael HellerTechTarget]

 Amazon Web Services(AWS)が、クラウドストレージサービス「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)におけるバケット(データ保存領域)の設定ミスとデータ漏えいを防ぐための新たな対策に乗り出した。

 年次カンファレンス「AWS re:Invent 2019」でAWSが発表したのが、セキュリティ状態の分析機能「AWS Identity and Access Management Access Analyzer」(以下、IAM Access Analyzer)だ。利用中のAWSサービスおよびリソースのアクセス権管理機能「AWS Identity and Access Management」(AWS IAM)に含まれる。

 IAM Access Analyzerは、Amazon S3のバケットが外部に公開された状態になっていると、ユーザーに警告を出す。それを見てユーザーはワンクリックでアクセスを遮断し、意図しないアクセスを防ぐことが可能だ。

 必要に応じて、さらにきめ細かい権限も設定できる。AWSの上級技術製品マネジャーであるシャスヤ・シャーマ氏はブログで次のように解説する。

例えば静的Webサイトをホスティングするサーバのような、外部アクセスの許可を必要とする特定の用途については、警告の内容を承認し、意図的にそのバケットを公開あるいは共有状態に保つことができる

 IAM Access Analyzerは、公開されている全Amazon S3バケットをグループ化して表示する。同時に、その状態がアクセスコントロールリスト(リソースとそれに対するユーザーのアクセス権を対応付けたリスト)による設定か、ポリシーによる設定か、あるいはその両方によるものなのか、そのバケットでどのような権限が有効になっているのかも参照できる。

 Amazon S3バケットのアクセス権は、デフォルトでは非公開になっている。それでも設定ミスが原因で、米国防総省やVerizonなど大規模組織のデータが公開状態になっていた事態が後を絶たない。AWSは2年にわたって、この問題への対処を試みてきた。具体的には、

  • バケットが公開状態であることをはっきりさせる対策
  • 公開バケットのオーナーへのメール送信
  • バケットの設定をバッチで変更可能にする機能の導入

といった解決策を提供している。そこに新たな対策として加わったのがIAM Access Analyzerだ。

IAM Access Analyzerを活用できるかどうかはユーザー次第

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

事例 フォーティネットジャパン合同会社

万一の場合でも医療を止めない方策とは? りんくう総合医療センターの取り組み

大阪府のりんくう総合医療センターは、地域の約40万人の医療を支えている。それを可能としているのが、約50種類のシステムだ。同センターでは、もしサイバー攻撃を受けても医療を止めない方策として、「EDR」を導入したという。

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

従来型EDRではもう限界? 侵入検知から対応まで自動化する“第二世代”EDRとは

ランサムウェア攻撃は巧妙化・凶悪化の一途をたどっている。EDRを導入してエンドポイントの保護を実施している企業は多いが、従来のエンドポイント対策だけでは不十分だ。従来型EDRの課題と、それを解消する“第二世代”EDRを紹介する。

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

EDRを導入したのに結局人手が必要? 脅威の封じ込めや復旧まで自動化するには

従来のEDRは、エンドポイント上での検知・分析機能を中心としたものが多く、脅威の封じ込めや復旧は人の手で対処しなければならない上、運用においてもSOCのような体制構築が必要だった。これらの課題を一掃する、注目のアプローチとは?

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

ランサムウェアの防御から修復までをSOCなしで、マンガで学ぶ第二世代EDRの実力

ランサムウェアが拡大する中、EPPなどの従来のセキュリティ対策では対処が難しくなっている。とはいえ、EDRの運用には高度なスキルや24時間体制での対応が必要で、導入をためらう企業は少なくない。そこで注目したい、第二世代のEDRとは?

製品資料 フォーティネットジャパン合同会社

限界を迎える従来型境界防御、今求められる先進的な検知と対応能力とは

従来型境界防御が限界を迎え、企業は新たなサイバーセキュリティの課題に直面している。今日の高度な脅威に対抗するためのセキュリティアプローチとして、ZTNA、EDR、XDRの統合による包括的保護の実現方法について解説する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...