コンピュテーショナルストレージは、CPUを中心とした従来のシステムにはない利点をもたらす可能性のある新しいストレージの仕組みだ。どのような利点や活用分野があるのかをまとめる。
コンピュテーショナルストレージは、CPUを介してデータ処理をする従来のシステムとは異なり、独自の計算機能を備えるストレージの仕組みだ。この手法を採用するストレージを広く利用できるようになれば、企業のさまざまなアプリケーションがその恩恵を享受できるようになる。従来の仕組みではなく、なぜコンピュテーショナルストレージが必要なのか。その利点と、特にどのような分野で活用できるのかを押さえておこう。
コンピュテーショナルストレージは、処理の負荷をストレージに移行し、データをより高速に処理することを目的としている。具体的には、以下の使用例が想定されている。
ストレージ関連技術の標準化を推進する業界団体SNIA(Storage Networking Industry Association)のワーキンググループには、数々のベンダーが参加している。ただし今のところ、コンピュテーショナルストレージ用のハードウェアを提供しているベンダーはごく一部だ。「コンピュテーショナルストレージは、増え続けるストレージワークロード(ストレージシステムの処理負荷)が従来のサーバアーキテクチャで扱える範囲を超えるケースをターゲットにしている」とSNIAは説明する。
NVM Expressの分科会NVMe Computational Storage Task Groupで共同議長と委員を務めるビル・マーティン氏は、次のように語る。「Computational Storageは、進化が著しいストレージ業界の需要を満たすために、企業のハイパースケールデータセンターを支援する当グループの取り組みの一環だ」
マーティン氏によると、Computational Storageは「相互運用可能でオープンなエコシステムを実現する規格化されたアプローチ」だ。演算機能をデバイスに移すことによって、複数の業界におけるITインフラの総保有コスト(TCO)削減や処理能力向上につながることをマーティン氏は期待する。
コンピュテーショナルストレージ分野では、メリットが大いに宣伝される一方で、複数の大きな課題が未解決のままだ。コンピュテーショナルストレージに取り組んでいるベンダーは限られており、そのアプローチもベンダーごとに異なるため、現時点で互換性は存在しない。既存のアプリケーションをコンピュテーショナルストレージと連携させるには、リファクタリング(機能を変えずにソースコードを書き直すこと)が必要な場合もある。
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